概要
マイナンバー
自分たちには関係ないと思っている経営者の方もいらっしゃいますが、みなさん、マイナンバーに関わりなく経営していくことはできません。
企業としては、従業員のみなさんのマイナンバーを取得、保管しなければいけません。
そして、従業員が退社したあとは一定の期間を経て廃棄しなければいけないのです。
また、家賃を払っている場合には大家さんのマイナンバーも教えてもらわなければいけません。
マイナンバー注意点
従業員から取得した番号の取り扱いに関する罰則が重い一方、
従業員から取得しないことについての罰則
書類に記載しないことに対する罰則がないということです。
つまり、従業員から番号を取得しなければ罰則が適用される可能性はないのですが
取得して利用を誤れば罰則の対象になってしまうのです。
従って、極めて慎重な取り扱いが必要です。
年末調整
従業員に個人番号の提出をお願いする可能性のある最も早い機会は
年末調整の時の扶養控除等申告書です。そこには、個人番号欄がありますが
「給与所得者が、平成28年分の扶養控除等申告書を平成27年中に源泉徴収義務者に提出する場合、その申告書に給与所得者本人等の個人番号を記載する必要はない」という通知がでています。つまり、書かなくてよいと国税庁が言っていますから、今年末の年末調整には必要ありません。
入退社
しかし、平成28年の新入社員、退社する社員には、番号を教えてもらう必要があります。教えてもらえなくても書類は有効ですが、「提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておく」ように国税庁は要求しています。
雇用保険
雇用保険については、マイナンバーの記載がなくても問題なく受け取られるとQ&Aに明示されてます。また、理由書も必要ありません。(平成 27 年9月 14 日版雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A)Q&Aについては、雇用保険も国税に関するものもインターネットで入手できます。
簡単な資料をネットで取得できます。
「小規模事業者必見!マイナンバーガイドラインのかんどころ~入社から退職まで~」です。
ぜひご一読ください。
従業員のみなさんにも、ご本人のマイナンバーと、扶養家族のマイナンバーを会社に知らせないといけないことを知って頂かなくてはいけません。
社員告知のためのお知らせの案を今回同封しています。告知の参考にしていただければ幸いです。
路線バス会社の営業
十勝バスという会社は、北海道帯広を中心に路線バスを展開する老舗企業です。
しかし、1969年から売上は減り続け2008年にはピーク時の2割程度になっていました。まさに潰れそうな会社だったのです。そこに燃料費の高騰です。しかし、十勝バスはつぶれませんでした。日経トップリーダー9月号の記事を要約してお届けします。
このとき新社長が就任してから10年たっていました。新社長は十年間営業強化と言い続けていました。しかし、言うだけで何も始まっていませんでした。それが、この燃料費の高騰で、ついに社員たちもやる気になったのです。社員は中心部を離れた小さな一つのバス停からやりたいと言いました。
社長は、人通りの多い駅前から始めたかったので、「そんなちっぽけな取り組みで何が変えられるか」と怒鳴りたかったのですが、まず変えるのが第一歩と「よし、ここからやろう」と答えました。
でも、小さなところから始めて良かったのです。有名な経営学者のドラッカーもこう言っています。
「イノベーションに成功するには小さくスタートしなければならない」
最初の停留所の見込み客は、バス停から半径200mほどの範囲に住む約300世帯の住人でした。ご自宅を1軒1軒訪問しました。7割のお宅が扉を開けてくださり、話をすることができました。その結果驚くべきことがわかりました。
みなさんは、バスの乗り方が分からなくて不安で乗れなかったのです。バスがどこに向かっているのか、前から乗っていいのか、後ろから乗るのか、料金も分からない。そこで、バスの乗り方についてのパンフレットを作って配りました。さらに、ある施設に行くためにはどの路線を使えばいいのかがわかる「目的別時刻表」を作りました。最初の一路線の戸別訪問が終わった時点で、この路線の利用者は2割増えていました。
ドラッカーは、こう言っています。
「ほとんどあらゆる組織にとって、もっとも重要な情報は、顧客ではなく非顧客についてのものである。」
非顧客とは、顧客であってもおかしくないにもかかわらず顧客になっていない人たちです。
『カール教授と学ぶ成功企業31社のビジネスモデル超入門』
著者は題名の通り大学の先生ですが、元々は起業家です。
学者やコンサルタントの書いたビジネスモデルの本は読みづらく、ハードルが高かったり、実践的でないことが多かったりする。そこで、著者は、分かりやすく書こうと思ったのです。本書では多くの事例が取り上げられており、その背後にある企業の経営戦略が説明されています。特に面白いところを要約して掲載します。
★ビジネスモデルとは
企業がいかにして売上を上げて利益を出すか?という事業活動の仕組みのこと。
具体的には、
①誰に?「顧客」
②何を提供?「顧客価値」
③どのような経営資源を集めて?「経営資源(人、モノ、カネ、チャネル、ノウハウ他)」
④どうやって差別化する?
⑤収益をどうやってあげる?
★ゲイリー、ネットでワインを50億円売った男
ゲイリー・ヴェイネチェックさんは、ソーシャルメディアを利用して1人でワインを50億円以上売った人。彼は、ネットにワインを紹介する動画コンテンツを提供し、ワインを好きだけれどよく分からない人向けにワインについて分かりやすく動画で解説した。ベラルーシ訛りで強烈にしゃべりまくることで、「ワインのことならゲイリー」というブランドを作ることに成功した。
①顧客:ワイン好きの人
②顧客価値:ワインについての深い知識を動画で提供
③経営資源:動画、ソーシャルメディア、知識
④差別化:強烈なキャラクター
⑤収益:販売益
★IBMは何で儲けているか?
以前はパソコンメーカーだったが、その部門は売ってしまって、今は、システムなどのコンサルティング部門とソフトウエア開発の会社になっている。メーカーから、顧客の問題を解決するビジネスモデル(ソリューションモデル)に変わったのだ。
①顧客:先進国の企業
②顧客価値:面倒なサービスのワンストップでの解決
③経営資源:システムノウハウ
④差別化:パッケージする力 ブランド
⑤収益:サービス提供料金
★マブチモーターはなぜ下請けから脱却し、世界一になったのか?
マブチモーターは、以前は玩具メーカーの個別の注文を受けていた。その結果コスト高に陥り、さらにクリスマスのような特定の時期に大量に作られるなど季節変動が大きい産業だった。そこで、マブチモーターは顧客に逆提案した。「この形のモーターはいかがですか?大量生産でコストが下がります。」こうしてマブチモーターは、高品質かつ低価格を実現するために標準化というビジネスモデルを生み出して、単なる下請けから脱却した。
①顧客:モーターを利用する企業
②顧客価値:顧客要望の最大公約数を満たしたモーター
③経営資源:高度な技術力、高品質低価格のモーター
④差別化:小型モーターに特化
⑤収益:販売益