概要

『鬼速PDCA』

富田和成著 クロスメディア・パブリッシング 266頁 1480+税

 

PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(検証)、ACTION(調整)の4ステップからなるPDCAサイクルはビジネスパーソンであれば誰でもが知る古典的なフレームワークであるが、実践している人は少ない。PDCAは、会社にとっても個人にとっても最強のスキルであるので、もっと利用すべきである。著者は、本書の「はじめに」でこのように述べています。

 

本書では、鬼速(おにそく)PDCAというものが紹介されています。鬼速とは、PDCAを回していく速度が非常に速いという意味ですが、PDCAを作成するにも時間設定がされていてとても短いものになっています。わずか10分でPDCAを作成しなさいと著者は言っています。PDCAはやってみたいが最初のプランの時間がないという方は多いと思います。そのような方にうってつけのフォーマットと思います。

 

その内容は次の通りです。

①ゴール設定をする:達成したいゴールを決める。
②課題を考える(制限時間 3分)

ゴールを実現するにあたって考えられる課題をできるだけ多く書き出す。(目安:7個以上)

③課題の絞り込み(制限時間 30秒)

上で書き出した課題の中から「もっともインパクトがありそうなもの」を3つ選ぶ。

④解決策を考える(制限時間 3分)

3つに絞った課題を解決する方法を書き出す。(目安:10個以上)

⑤解決策の絞り込み(制限時間 30秒)

上で書き出した解決策のなかから「もっともインパクトがありそうなもの」を3つ選ぶ。

⑥タスク化(制限時間 2分)

3つに絞った解決策について「手段(どうやるか)」と「期日(いつまでにやるか)」を決める。

⑦見える化(制限時間 1分)

上で決めたタスクをスケジュール帳に書き写します。

 

このたった10分間を繰り返すだけでPDCAサイクルを回せる仕組みになっている。

 

以上簡単にまとめたものをご紹介しましたが、本書には詳しい説明が載っています。

 

①ゴール設定のポイントは3つ
・期日を切る
・定量化する(数値目標の設定)
・適度に具体的

 

②課題の設定は、ゴールと現状とのギャップを確認することに始まる。定量化した数値で比較すればギャップは明らかになる。例えばある営業マンが新規開拓月平均5件であり、目標が10件である場合、ギャップは5件である。次にギャップを埋めるための課題を考える。次のような問いが役に立つ。

 

「ゴールから逆算すると、自分は何をすべきなのか?」「何が不足しているのか」「前進を加速するために、伸ばせる長所はないか」

 

 

本書にはまた役に立ちそうな付録がいっぱい付いています。ネットからダウンロードする形になっていますが、次のファイルを利用することができます。

「工数棚卸しシート」
「鬼速進捗管理シート」
「なるほどシート」
「ルーチンチェックシート」
「10分間PDCA」

鬼速PDCA、実施

PDCAに関する本をご紹介しました。10分間でPDCAのプランができてしまうという驚きの内容ですが、10分だからできるのだということも言えますし、大切です。1時間2時間、1日2日かかると考えるとそれだけでやる気がなくなってしまいます。

 

ただ、できるといっても最初の問題がなかなか超えられません。それは、ゴールの設定です。前項では、①がゴールの設定です。そして、①だけが制限時間が記載されていません。一番大切なことで、簡単に決められないということでもあるでしょうが、ここを決めないと、あとが続きません。

 

ここも、長い時間をかけるのではなく、制限時間を定めて「えい!」と決めてしまわないと前に進めません。

 

ゴールというのは、目標です。来店客数でもいいし、また、販売額でもOK、あるいは、新規顧客獲得件数でもいいでしょう。個人の目標で進めてもいいかもしれません。

 

そして、そのゴールについて
・期日を切って、例えば8月15日
・定量化(数値目標の設定)をして、例えば新規訪問件数
・適度に具体化、例えば10件、

とします。

 

これを〇分でやると決めてください。
3分ではいかがでしょうか?

 

このゴール設定が適当であったかどうかはPDCAを進めてみて初めてわかります。あとは②~⑦と作業をすすめ繰り返します。やってみたいけど、最初から大げさにしたくないとか、ひとりでやるのは面倒とか言う方は、ご連絡ください。澤根がお手伝いいたします。

 

貸借対照表

決算書には、貸借対照表というものが入っています。貸借対照表の基本中の基本について、ごくごく簡単に説明します。わかりやすくするために、少しばかり正確さに欠けた表現になりますがご容赦ください。

 

貸借対照表は、決算日時点の会社の財務状態を表現しています。財務状態とは、資産と負債、その差額の純資産の状態をいいます。次の図を見てください。

お金の使い道 お金の集め方
資産 負債 ⇐返す
純資産 ⇐返さない

資産には、現金預金、売掛金、車など、お金を出して購入したものがきます。負債には、買掛金、未払金、借入金など、これから支払わなければならないものがきます。

 

純資産は、会社の価値を表します。純資産の金額は、資産の金額から負債の金額を差し引いたもので、純資産の金額を見ると、負債を全部返済した後いくら会社に残るのかがわかります。つまり、会社の値段です。純資産がマイナスだと、負債を返済できない状況ということになります。

 

別の言葉でいうと、純資産の金額を見ると、会社ができてから、いったいいくら稼いだのかがわかります。増資とか資本金額などが動いているとそうもいかないのですが、純資産の金額から資本金を差し引いた金額が会社設立後の税引き後利益の累計です。

 

また、純資産価額を資産の総額で割ったら、自己資本比率というものが出てきます。

 

貸借対照表はあまり見ることがないかもしれませんが、一度じっくりと見ていただきたいと思います。貸借対照表上の会社の値段はいくらなのでしょうか?設立以来の稼ぎはいくらなのでしょうか?

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