坂井 三郎著
(講談社+α文庫) (文庫)

『大空のサムライ』とは違った視点で楽しめる本である。

話には聞いていたが、実際の話として聞くのは
初めてというものがいくつかあった。

ひとつは、麻薬のヒロポンである。
長時間の操縦、激務に耐えられるように飛行士に
ヒロポンを打っていたという話は聞いたことがあったが
坂井三郎氏の体験談としてでてくると迫力が違う。

本人達はヒロポンだと知らず、栄養剤と思い込んでいたらしい

あるいは、いったん撃墜されたものの生還した乗務員が
なんども激戦地においやられ、最後は特攻を命ぜられるなどの
話もなまなましく語られている。

さらに山本五十六長官への思い、また
士官と下士官、兵との関係などの記述もすぐれている

撃墜王の体験記としてはもちろんだが、洞察力、描写力の
すぐれた戦争体験者の記録としても充分たのしめる

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