野口 武彦著
歴史はドラマの連続だ
水野忠邦の天保の改革から黒船来航まで
1825年から1854年までをカバーしている。
本書を読むと、歴史は理論で進むのではなく
人間のドラマの積み重ねであるということがよくわかる。
興味深くおもしろいトピックがいっぱいある。
特に強烈なのは、幕末ナショナリズムの原点となった
攘夷感情に乗じて台頭した水戸の徳川家斉
実は、攘夷は無理だと思っていたというところだ。
攘夷というタテマエにこだわりつづけ、そのため
幕府の外交政策が金縛りになっていくのである。
またこっけいだったのは、黒船観光ツアーというエピソードである。
黒船の停泊で、船運のハブにあたる海域を占拠されて漁業、運輸は
大打撃をこうむった。ここで登場したのが黒船観光ツアーだったというのだ。
どんなことでもビジネスにできるものである。
歴史はドラマである。本書を読むと幕末の
大きな流れを作っていった小さなドラマ、通常の歴史では
知ることのできないおもしろいトピックを知ることができる。
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その意味でお勧めである。