小林朋道著 築地書館 9784806713753
鳥取環境大学の先生が学生たちと、あるいは単独で
繰り広げる動物たちとの物語。
登場動物は、イノシシ、タヌキ、テン、ナガレホトケドジョウなど。
こういったものが、大学の中やすぐ近くにいる。
自然とは、そんなに身近にあるものか。
なぜか、少し安心する。そして、おもわず回りを見回す。
しかし、物を認識する能力がないせいか、何にもわからない。
イノシシ、大学の近くに借りていた田んぼに出た。
田んぼもただの田んぼではない。冬季湛水不耕起栽培という
聞いただけでなんとなく横着そうな田んぼだ。
そこで、学生たちとイノシシ捕獲プロジェクトが始まる
鳥取駅前通りのサイン、スプレーで描かれた落書きをみて
著者はタヌキを思う。タヌキは溜め糞をする。
その区域に生息する複数の個体が、区域の中に数箇所
共通して糞尿する場所、つまり共同トイレをもっている。
それを溜め糞という。新しくその区域に越してきた固体が
そこを利用することによって
「新しく越してきたものです。以後お見知りおきを」
という情報を糞尿にこめる。
あるいは、少年から青年になった固体が
「そろそろいっぱしのオスになってきました。お嬢さんを募集します」
といった情報を流す。
鳥取駅前通のサインは、タヌキの溜め糞に近いのではないか?
1500メートルの高山に生息するイモリは感動的だ。
著者の動きも感動だ。