日経MJ編 日本経済新聞社 1995円 281頁
本書には、消費者、小売・サービス企業、消費財メーカーという3方の視点からの記事がいっぱいです。現状を広くとらえ、2014年はどうなるのかを考えるのには、最適の一冊でしょう。種々雑多な情報がありますので、箇条書きのような形で抜き出してみます。
Ⅰ2014年、流通・サービスはこう動く!
・宅配化:インターネット通販の普及で、店を構えて客を待つだけでなく、客の元に出向くサービスを競う時代に入った。スーパーの宅配はもちろん、靴や家電修理の宅配もある。
・家電価格競争激化:アマゾンと家電量販店の安値競争が激化、ネット通販の主役は動画へ
・外食価格競争:高い価格で高付加価値を売りにするか、低価格で集客力を高めるかで外食各社のかじ取りは厳しさを増している
Ⅱ消費トレンド
・3コウ消費:しっかりした「高品質」、デザインや雰囲気が好みに合う「好感」、自分にとって、どう役に立つのかが明確な「効果」これら「高・好・効」という3つのコウを備えたものなら支出増も許す。これらは、わけあって高いものでもある。
・若い女性の消費が変化:「男性ウケ」よりも「同性ウケ」、「母娘」だけでなく「父娘」の消費に移行。消費を友達と一緒にする傾向が高まっている。
Ⅲデータによる流通
1.小売業
2012年度の総売上高は前年度比2.2%増と2年ぶりの増加。イオン1位、2位セブン&アイホールディング、3位ヤマダ電機。ファーストリテイリングが初めてダイエーを抜いた。
3.卸売業
2012年度の全業種の売上高、営業利益が3年連続の増加となった。
・食品、肉食需要が好調
・繊維、正価販売が伸び増収
・服飾品、格安航空会社が旅行需要を後押し
・文具・事務機、企業に節約・効率化の波
・書籍・CDほか、雑誌販売の低迷続く
・家具、医療・福祉向けが牽引
・日用品・医療用品、値引き圧力が利益を圧迫
・雑貨、節電関連・ギフトが低調:震災特需の反動が大きい
・スポーツ用品、「自粛」の反動で増収幅大きく
4.飲食業
業種別では、「宅配」「回転ずし」が伸びた。総売上高では、1位はゼンショーホールディングズ、2位すかいらーく、3位日本マクドナルド
6.サービス業
・学習塾・予備校、個別指導の好調目立つ
・難関大学を目指すための受験指導ニーズはかわらず高い。一方、成績中下位の生徒を対象とする塾は価格競争が激しい。各社は少子化進行に対応して幼児教室などに事業領域を広げている。
・保育サービス、都市部で新設あいつぐ:売上高の伸び率は34業種中第2位だった。保育士の人で不足から、正社員の1人あたり平均給与がこの1年で「上がった」との回答が69.7%を占める一方、「下がった」はゼロだった。
以上、ばらばらではありますが、なんとなく動向がわかったような気になりませんか。