概要
飛行機に立ち席、牛丼屋が居酒屋
ライアン航空という会社があります。1985年7月8日に誕生した同社は、現在、ヨーロッパ最大の格安航空会社です。設立以来さまざまなことで話題を呼んでいますが、今回は立ち席導入をすると報道されています。実際、飛行中に乗客が立ったままでいる「立ち乗り席」の導入に向けて、航空機器大手ボーイングと協議していることを明らかにしました。
飛行機なのに立ち席です。
立ち乗りとは言っても、寄りかかったり座って休むことができるスツールのようなものが備えられるということです。コスト削減のために他にもさまざまなことをしています。
・座席クラスをエコノミークラスに統一。
・マイレージポイントシステムの廃止、座席指定の廃止。
・新聞、雑誌、毛布などのサービスを廃止。
・個人用ビデオや機内音楽放送などの機内エンターテインメントの廃止。
・機内飲食料の無償提供の廃止と有料販売化。
・機内シートのリクライニング機能とシートテーブル、シートポケット廃止。
・機内シートには掃除しやすい本革張りを使用する。
どれも、飛行機なのにですね。
特に最後の革張りシートは、安売り「なのに」です。
日本では、吉野家が、牛丼屋なのに居酒屋として有名になっています。
そして「吉呑み」ということばまで作り出しています。
ご自分の事業にも何か「なのに」がないでしょうか?
『スープを売りたければ、パンを売れ』
著者は、PRを使った企業のマーケッティングを20年以上しているコンサルタントです。そして、この本は売り方を考えるために書いたと言っています。面白いところをいくつか紹介しますので、売り方を考えてみましょう。
★「なのに」で売る
既成概念に囚われず、自由に売り方を探求する
・ソルコ
塩なのにオシャレショップ
ソルコは塩の専門店、39種類の塩が存在感のある試験管パッケージで売られている。
・相模屋食料
豆腐なのにファッションショーで売る
F1層(20~34歳の女性)をターゲットに開発された「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」のプロモーションは、ファッションショーイベントに出品して行われた。
・「なのに」で売るための3つのポイント
1.異業種の売り方を持ち込む
2.ターゲットとのミスマッチを利用する:塩と試験管、豆腐とファッションショー
3.妄想力:四六時中あれやこれやと空想する
★「ずらし」で売る
・クノールカップスープ
スープを売るために、パンを主役にして、つけて食べるというスタイルを売る
・ミツカン酢
酢を売るために手巻きずしの楽しさを売る⇒「土曜日は手巻き寿司」という広告が有名になりました。
・「ずらし」で売るための3つのポイント
1.基本を押さえたうえで「ずらし」:クノールなら、まずパンにあうこと。おいしく、食べやすく、飲み込みやすい。この場合、基本はスープのおいしさです。
2.その人だからこそできる「ずらし」のテクニック:プロのユーザーの意見を取り入れる。
3.プロではない一般人だから気づく:「子どもならでは」「主婦だからこそ気づく」身近な友人の意見を聞いてみましょう。
★「組み替えで売る」
「売り物」と「売り先」の新しい組み合わせをつくること
・こどものぬりえを大人に売る:従来子どものものと思われていた「ぬりえ」を大人が楽しめる「塗り絵」に変えて新しい市場を見出したのが「大人の塗り絵」(川井出書房新社)。
・目が悪くない人にメガネをかけてもらう:パソコン用のメガネ、JINS PC。
・「組み替え」で売るための3つのポイント
1.ミスマッチの妙を探る:新しい売り先に向けて商品を改良する
2.従来の売り先以外を考える:メガネ=視力矯正、それ以外にないかを見つめ直す
3.情報を探る
★効能替え
・ガム;こどもに食べさせたくないお菓子ナンバーワンから、キシリトールという機能性甘味料の登場で虫歯予防に効果のあるお菓子に変身
★つかみ:お客様をつかむ
初歩的でシンプルなつかみは3つ
①おまけ:マクドナルドのハッピーセット、女性雑誌のふろくなど
②お試し:試食、今なら無料体験実施中など
③値引き:当店のみ100円、今日だけ無料など
「なのに」、「ずらし」、「組み替え」、「効能替え」いかがでしょうか?
使えるかどうか考えてみてください。