理央周著 日経プレミアシリーズ
サボるということばを見てどんなことが思い浮かびますか。本書の主題のひとつは、まとまったサボる時間を生み出すこと。サボる時間にすることは、サボることではありません。日常の仕事では目先のことにばかり追われていますから、そうではない仕事をするのです。それは、目標設定や戦略立案などの川上の仕事と、結果のレビューや次の一手のためのアクションプランなどの川下の仕事です。
川上の仕事は、
・新製品でねらうターゲット層を探る
・最も強調すべき自社製品の強みを考える
・ターゲットに一番響くキャッチコピーをつくる
であり、川下の仕事は
・今回のキャンペーンを振り返り、次回に活かせる点を洗い出す
・次の新製品に取り入れられる点は何かを考える
です。
要するに、日常業務の中ではできない仕事を、まとまった時間を作ってやっているのです。
著者は、仕事を効率的にするために、次のことをしているといいます。
①まずは、大事なこと=価値を生み出せる仕事は何かをいつも考えておく
②そのための時間を確保する
③阻害要因・問題を発見する
④問題をつぶす
⑤習慣化する
時間を作り出すために、仕事を分類するのが効果的です。分類は、仕事を緊急度と重要度という観点から4つに分けます。
緊急度も重要度も高い仕事はだれでも急いで手をつけますが、Ⅱの緊急度は低いが重要な仕事は手をつけにくい。また、重要度が低いにもかかわらず、緊急度の高いものについ時間を使ってしまう。では、どうすればいいか。仕事をこの4つに区分して、緊急度が高くて重要度の低いものを放っておくか、簡単にすませて、重要度が高くて緊急度の低い仕事をするようにする。そのために、そのためだけの時間を作っておき、そこにはアポはいれない。それが通常の仕事の時間内にできなければ、時間外に別途そのための時間を作らなければいけません。
こうやって無理やり作った時間で、このページの左側に書いた川上、川下の仕事をします。それが、自社の業務で考えてピンとこない場合には、中期的、長期的な視野で考えて、自社の課題を見つけます。
今のお客様は、どんな人たちか?このお客様たちは、今後どうなるのか?購買額は増えるのか?新しいお客様は、どんな人たちか?どうすればたくさん買っていただけるのか?粗利益額を増やすにはどうしたらいいのか?などなど、緊急度が高くて重要度の低い仕事に追われていては考えにくいことを考えます。