デイビッド・ルイス著 日本実業出版社 1,750円+税 313頁
消費者の購買意欲が操作されているという衝撃的事実が発表されました。これがなんと1957年です。その後操作方法はどんどん発達してきたでしょう。本書は、さまざまな方法を教えてくれます。消費者として、販売者として知っておく必要がありそうです。いくつか紹介します。消費者としては、無駄な買い物をしないように、販売者としては、お客様にどんどん買っていただけるように。
・ゼネラルミルズのケーキミックス:卵の粉末をあらかじめ商品に混ぜておくのをやめて、購入した主婦が卵を混ぜるようにした。手作りのおやつにしたのだ。売上は、激増した。
・ショッピングの右側の法則:私たちは、無意識に利き手側にプラスイメージを持ち、逆側にマイナスイメージを持つ。大多数が右利きである現状を考えれば、右側は良い印象、左側は悪い印象になりやすい。ショッピングでも左側よりも右側のディスプレイが好まれる。その傾向を右側の法則と呼ぶ。
・「商品を理解しにくい」「商品を選ぶのに多くの条件を検討しなければならない」場合、商品を購入する確率は大幅に下がる。
・全く同じ商品でもラベルを変えると売り上げが変わる例:(1と2では、どちらがどれくらいたくさん売れたでしょうか?)
1「ローファットキャロットケーキ オーガニックのキャロットケーキで健康的な食生活を楽しみましょう。フレッシュなにんじんをすりおろし、太陽の光を浴びて育った干しブドウと風味のよいピーカンナッツ、さわやかなスパイスと新鮮な卵を加えました。100gあたり370カロリー」
2「素朴ながら絶妙な美味しさ。ボリュームのあるキャロットケーキです。ブラウンシュガー、卵、ピーカンナッツで優しい味に仕上げ、ソフトチーズとシュガーでコーティングしました。100gあたり370カロリー」
(どちらが売れたか考えてみてください。答えはこのページの最後に書いておきます。)
・商品の特徴を顧客にとってのメリットに結び付ける「XにはYがある。つまりZです」
「このレンズは絞り値F1.4、最速シャッタースピードは1万分の1秒です」ではなく、例えば、若い母親が相手であれば、「お子さんの誕生日パーティで写真を撮っているとしましょう。その場の雰囲気もうまく写したいですよね。そんなとき、このF1.4レンズがあれば、フラッシュを使わずに素晴らしい写真を撮影できますよ」
相手が父親であれば「息子さんがサッカーチームのメンバーだとしましょう。大事な試合の日は、すべてのプレーを確実に撮影したいですよね。そんなとき最速シャッタースピードが1万分の1のこのレンズがあれば、どんなに速いシュートでもシャープな写真が撮れます」と売り込む。
・効果的な広告の三つの要件:①「本人にとって意味があること」②「文化的に適正であること」③「心があたたまり前向きな感情を生むこと」
・アップルストアの従業員教育:基本的な考え方は、強引ながら優しく、説得しながら受動的、共感による販売。販売プロセスは、APPLE:Approach(接近)、Probe(探索)、Present(提示)、Listen(聴取)、End(終了)の5段階。A:まず挨拶を交わし、P:顧客の懸念やニーズを探索し、P:それらを解決する商品を提案し、L:問題点や質問を丹念に聞く、E:契約する。
(答え:1が40%たくさん売れました)