本嶋内秀之・伊藤一彦著 中央経済社 p.183 2310円


ベンチャーキャピタルというのは、上場をめざす企業に投資を行い、
つまり株式を購入し、投資先の企業が上場した時に売却して利益を得る
民間企業です。

 著者の一人である伊藤一彦氏は、上場を目指す営業創造株式会社の社長です。
もうひとりの嶋内秀之さんは、ベンチャーキャピタルのキャピタリストで、
ベンチャー企業の社長に代わって企業の内容や将来をベンチャーキャピタルに
説明するのが仕事です。

そして、営業創造株式会社の担当キャピタリストです。

本書では、ベンチャーキャピタルとはどのようなもので、どのようにして投資判断をするのか、一方投資を受ける側としてはどのような点に注意すればよいのかが説明されています。

ベンチャーキャピタルが投資するのは、短期間で急成長する会社です。
そういう観点から考えると、まさに経営の基本が投資判断の基準になっているのです。

本書の中にはキャピタリストの経営者に対する考えがまとめられています。
非常に参考になると思いますので列挙しておきます。

よい経営者
・目標を立てて期限を切って実行する。
・悪くなったとき、悪い報告を悪いと聞いて、どう展開していくかを考える。
・前向きな努力をする。
・人の話をきちんと聞ける。
・きちんと自社の財務状況を言える。
・ちゃんとコミュニケーションできる人。頭がよくてもはぐらかす人はだめ。
・よく働く。

悪い経営者
・いちばんダメなのはウソをつく人。信頼が生じないから。
・技術的な話しかできない社長はだめ。利益まで話を進められる社長がいい。

判断基準として以下のことを言っていますが、とても参考になります。

・業績が悪いとき、経営者がその状況をどのように理解するか。

業績が悪いと、社長は自分が原因だと考える。
自分の経営判断のミス、人を見る目のなさなどが原因だと考えて事業を立て直すとうまくいく。

一方、景気が悪い、社員が悪いなどとすべて外部のせいにする社長では、
業績は回復しない。

考えてみますと、外部の原因は、変えることができない、
あるいは、変えることが非常にむずかしいのですね。

悪い景気をよくすることは、一介の社長には不可能ですし、
悪い社員を良くするというのもなかなか困難です。

しかし、自分が悪いと考えると、自分を変えることは、簡単です。
少なくとも外部を変えるよりはずっと簡単です。

業績が悪い原因を自分におく社長が業績を回復させ、自分ではない外部に原因をおく社長が業績を回復させられない理由はそういったところにあるのではないでしょうか。