概要

教育化

日経トップリーダー9月号に『教育化』という特集がありました。製造業はサービス化し、サービス業はより顧客に近づきサービスを進化させている。その先が教育化だといっています。以下、記事を要約してご紹介します。

教育化とは、企業が顧客に何かを教えるという意味だ。あるいは企業が顧客に何かを気づかせるというニュアンスだ。

大和製作所_製麺機メーカー
製麺機を拡販するには顧客であるうどん・そば店に繁盛してもらわないといけないと麺の学校を開設。経営や調理技術を学んだ生徒が製麺機を購入してくれるというモデルを築いた。

スマイルカーブ
「企画、開発、製造、販売、サービス」というプロセスのうち、価値が大きいのは規格とサービスである。製造や販売だけでは儲からなくなってきた。
顧客は、知らなかったことを教えてもらうことで、売買の関係を超えて感謝し、価格のことにはあまりこだわらなくなる。

★企業と顧客の関係は売買だけだと一時的だがサービス化により継続的なものになり、教育化により一体的な関係になる。
★一体的な関係になれば、
・リピート率が高まり、顧客が顧客を連れてくるようになる。
・価格競争から脱却できる。
・社員が能動的に動くようになる。

教育化の例
顧客に似合う服を教えてあげる_エアクローゼット

洋服のレンタル。プロのスタイリストが選んだ服を宅配しレンタルする。同社のサイト上で会員登録すると、一回の配送につき洋服を3着借りられる。服は、サイト上で登録した好みやサイズに合わせてスタイリストが選ぶ。顧客は、借りた服を返す際は服の感想や要望などをコメント欄に書き込む。こうして、利用回数が増えるほど顧客の希望にあった服が届くようになる。

撮る楽しさを売る_サトーカメラ

写真の撮り方を教える。カメラの性能や撮影技術に詳しくない顧客に丁寧に撮り方を教える。地域を絞り、顧客の大半は地元のリピート客である。20~40代の女性が6割を占める。

壁紙の貼り方を教える_フィル

店舗などで毎月50~60回「壁紙の貼り方教室」を開催している。一回に最大でも6組12人限定と少人数にし、2時間程度かける。フィルはネット上で「壁紙屋本舗」を運営、施工業の売上高を超えている。

最適の機種を教える_スギノマシン

機械・工具メーカー。顧客にとって最適な機種を教える機能を搭載したスマートフォン用アプリを開発。操作にかかる時間は約10分。そのまま見積り依頼を出せる。

営業手法を教える_アスクラボ

営業支援システムを販売。高い費用をかけてシステムを開発し、あるいは、購入しても成功しない例が多い。システムでできる部分は3割、7割は人間系の問題だからだ。そこで、研修事業を始めた。損益計算書、貸借対照表の読み方、プレゼンテーション、交渉力、提案書作成などを教える。

教育化の手順

1.顧客の本質的な欲求を考える。
2.顧客の欲求に教育化をあてはめてみる:どうすれば教えるということで欲求を満足できるか検討する。
3.自分たちが「教えられる」ことを考える。
4.「社長と社員の意識」を変える。
5.顧客に「教えられたこと」を生かす。

『シングルタスク一点集中術』

渡デボラ・ザック著 ダイヤモンド社 1500円+税、214頁

同時にいろいろなことをしなければ仕事が片付かない、すべきことをすることができないと思っていませんか?本書は、それは神話であり、事実ではないと言います。つまり、日々の仕事をこなしたいのなら、「いまここに」に完全に集中するしかない、つねに「一つに集中」することが必要であると言います。

本の帯には、一点集中術が、「ハーバード、スタンフォード、MIT脳科学、心理学の最新研究からわかった超シンプルなのに超効果的な脅威の方法」であり、「すべてが超効率化する」とあります。日々忙しい皆様に、本書をつまみ読みしてみます。

マルチタスク

マルチタスクなどはそもそも存在しない
タスクからタスクにスイッチしているだけだ。脳は1度に2つ以上のことに集中できない。これは、つまり気を散らしているということだ。

同時にできるタスク
とはいっても、ほぼ自動的にできるタスクは同時にすることができる。音楽を聴く、ごく簡単な手作業をするなどである。

マルチタスクは気が散る
気が散ると状況の変化に対応する柔軟性が低下する。

同時に複雑な作業
脳の中の同じ部位、前頭前野の取り合いが生じる。

マルチタスクを続けていると「コルチゾール」が分泌され、脳機能が低下する。

シングルタスク

一点集中の作業を続ける⇒「強いエネルギー」と「鋭い集中力」が生まれる。

変化のテクニック

★パーキングロット:会議中に本筋から離れた問題が出てきたら、それをホワイトボードに記録して、後から話し合う。
★何かの作業中に、ほかのことについてのアイデアがでてきたら、メモする。自分だけのパーキングロットを作る。書き留めるだけで気が散らなくなる
★スマートフォンを分離する:スマホを見ないですませる自分のためのルールを作る。
★ストップウオッチを使う:時間を区切るときにはスマホではなくストップウオッチを使う。スマホを使うとついスマホの他の機能を見てしまうからだ。
★邪魔者を防ぐフェンスを作る:電話、メール受信など音が鳴る物はすべてミュートにする。
★急ぐ仕事をしているときの電話:時間があまりないことを先方にまず言う。そうすれば、その電話に集中できる。
★雑談が長い相手:「今身動きがとれない」とはっきり告げる。
★仕事の時間を細かく決める:この時刻まではこの仕事をすると決め、タイマーを使う。
★シングルタスクで仕事をするため、朝いちばんに仕事の段取りを決める。
★メールの削除、送信は、1日に3回の時間をあてて、集中してする。
★メールのラリーを減らす:返信不要などと書く。
★類似タスクをまとめて片づける。
★1日2回「空白タイム」を作る:現実にアポが入っていると考え、アポを入れない。
★食事の時には食事だけに集中する。

いかがでしょうか?みなさんも、一度にいろいろなことをついしてしまっているのではないでしょうか?私もマルチタスクに取りつかれています。シングルタスクを心がけます。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします