概要

マインドフルネス

 

 

マインドフルネスを、思い切り簡単に説明すると、仏教の瞑想から仏教色を取り去ったものです。Wikipediaからご紹介します。

 

 

★効果

 

マインドフルネスには、心理的・身体的健康や良好な人間関係、冷静な意思決定、仕事や学業への集中、全般的な生活の向上などの効果があるとされる。

 

具体的には、

 

・ストレスや心配を減らす
・うつ病の予防、症状を和らげる
・薬物依存の治療
・心の健康維持
・健康的な老化、体重管理、運動能力の向上、特別なニーズをもつ子供への支援、周産期への介入などへも適用されている。

 

 

★歴史

 

仏教的な瞑想をもとにして、医療行為としてのマインドフルネスが1979年にアメリカで生まれた。1965年の移民国籍法により、アジアからの移民が増加したことが背景にあり、禅を学んだ分子生物学者がマサチューセッツ大学で仏教色を排し現代的にアレンジしたマインドフルネスストレス低減法を提唱したのがきっかけ。

 

 

日本では、2016年にNHKでストレスの対処技法として特集が複数回放送される等、近年メディアで取り上げられる機会が増加した2016年後半には、iPhoneでヘルスケアアプリに「マインドフルネス」のカテゴリが追加され、2023年3月にはNHKドラマ「あいつ、マインドフルネスはじめるってよ」が放送されるなど、急速に一般に浸透しつつある。

 

マインドフルネス、いかがでしょうか?

 

 

メンタル不調

 

社員は募集しても来ない、という状況が広がっています。そんな中で自社の社員のメンタルが不調になれば大変です。休職、退職の可能性も出て来ます。『日経ビジネス』4月15日号の「メンタルクライシス」という特集からかいつまんでご紹介します。

 

 

施策として次の3つが挙げられています。

 

 

1.予防支援:未然に防ぐ
2.適応支援:臨床心理士や公認心理師、産業医の支援を受ける
3.医療支援:うつ病、不安・パニック障害、適応障害の治療

 

以上のうち予防支援を見ていきましょう。

 

 

 

★予防支援:ストレスチェック、マインドフルネス、コーチング

 

 

1.ストレスチェック:体、心、行動

 

 

★体:頭痛、慢性的だるさ、不眠、吐き気、食欲低下、下痢、便秘

 

 

★心:理由もなく涙、新しいことに無関心、趣味を楽しめない、他人にイライラする

 

 

★行動:仕事ミス増加、仕事のペース鈍化、飲酒量増加、オンライン会議で顔を出さない

 

 

2.マインドフルネス:瞑想や呼吸法などを通じて不安と向き合うことで心を楽にする方法。米グーグル、米アップル、大和証券など多数が導入している。

 

 

3.コーチング:ユニ・チャームでは若手社員に3~4年上の先輩社員を付けて、公私ともに世話をする制度を18年から設けている。最近は、経営者や管理職向けのサービスも登場している。

 

 

★経営者:5割が心の不調を経験しいている。メンタルヘルスのために多様な経験をしている。神社参拝、登拝、滝行、水行などや、トライアスロン、トレイルラン、登山などの肉体の鍛錬をしている人々もいる。

 

 

 

『捨てられる日本』

ジム・ロジャーズ著 SBクリエイティブ 177頁 900円(税別)

 

 

本書は2023年2月に初版が発行されました。本書の151頁には、「これは30年間誰も予想してこなかったことだが、今後3年以内に日経平均株価は史上最高値の4万円に到達する可能性がある」と書かれています。とりあえず、予想はあたりました。他のことはどうでしょうか?

 

 

これからどうすればいいのかについては第4章以降に記載されていますので、そこからいくつか抜き出します。

 

 

★国を頼れない時代の年齢別人生戦略

 

・10歳:日本から出て、違う言語を学べ。あなたが40歳になるころには日本の人口は1億人を割り、日本という国にしがみついて生きていくことは困難になる。

 

・若い人:第二言語を学べ。英語、中国語、スペイン語、韓国語だ。テクノロジーの発達によって外国語を学ぶ必要はなくなるという人もいるが、密度の高いコミュニケーションをとるためには、あなた自身が外国語を使いこなせるようになったほうがいい。

 

・40歳:自己防衛に努めるべきだ。10年、20年先の日本では、今より多くの犯罪が発生する。社会保障給付は削られ、税金は高くなる。給与が増えていることは想像しにくい。このような状況下で、国民は不満を覚え、社会への不安が募る。30年、40年先の未来においては、反乱や暴動が起きている可能性さえある。

 

・65歳:残りの人生を終えるまでの間は日本政府がしっかり面倒を見てくれる。しかし、決して政府のいいなりにはならず、あなたが好きなことをすべきだ。

 

 

★資産を置くべき国

 

・スイス:金融国として古い歴史を持ち、現代でも保険の分野で重要な位置にある。
・ルクセンブルク:小国ではあるが欧州内でロンドンやフランクフルトと並ぶ金融センター。
・シンガポール:香港と双璧をなす金融独立国だった。香港は資産を置きづらくなる可能性があるが、シンガポールはおすすめできる。

 

 

★不動産投資はNo

 

・金利はあがる:金利が上昇すれば不動産価格は下がる。
・人口減少によって空き家が増え、不動産価格が下がる。
今後日本が移民の受け入れを積極的に行う場合、渋谷や新宿など外国人が投資するエリアに限定すれば投資価値はあるかもしれない。

 

 

★日本に大チャンスが到来する産業★★

 

・観光業

観光地としての日本は素晴らしい。ただ、日本はその魅力を十分に発信できていない。その理由のひとつは、日本人のアンチ外国人ともいうべき閉鎖性だ。この閉鎖性をなくすには、経験を積み重ねることだ。外国人と交流することだ。

 

・農業
若い世代は農家を継ぎたがらないため、血縁による後継者だけに頼ると農業は衰退する。こうした苦しい状況にこそチャンスがある。人気が低い業界には、それほど激しい競争がない。ライバルが少ない今のうちに農業を始めれば、大きな成功が期待でき、将来も安泰だ。実際、日本のイチゴやリンゴが世界中の高級スーパーで売られている。

 

・教育
移民の受け入れが困難であれば、まずは、「日本で学ぶ外国人を増やす」ことから始めてみてはどうだろうか?日本で学ぶ外国人と接するなかで、日本人の「移民アレルギー」も変わっていくだろう。

 

 

 

仕事にAIを

 

 

 

「中小企業の経営者の中には、AIというと『自分の会社には縁がない』という人がいるかもしれませんが、あまりにももったいないと思います。できることはどんどん広がっていますから、自社での活用について調べてみる価値はあると思います」

 

 

これは「日経トップリーダー」3月号の「仕事にAIを活用する意義は非常に大きい」という記事から持ってきました。

 

 

具体例をいくつかご紹介します。

 

★「AIアシスタント」

 

スマホでの利用にこだわった営業支援ツールを独自開発、2019年に本格導入。

 

 

★「AI行先アシスト」

 

上記アプリの機能のひとつ。訪問予定のある企業の周囲にある取引先をピックアップ。その中から予想されるニーズを踏まえて、受注確度の高い訪問先を特定。営業担当者のスケジュールに落とし込み、商談の内容をリコメンド。

 

 

★思いがけない提案

 

AIが思いがけない提案をしている場合、AIはなぜその提案をするのかを教えてくれない。だから、営業担当者は考えなければならない。

 

 

★成約まで

 

商談が成約に近づいているのかどうか、AIが数値化する。

 

 

★単品?

 

お客様に対して単品で見積もりを作っているときに、AIが他の商品をリコメンド。

 

 

★AIは社員を縛らない

 

AIは、あくまでビジネスが成功する確率を高めるためのツールであり、リコメンドを採用するかどうかは営業担当者の自由。

 

 

★AIで過去のデータを分析することで人間が予想しない気づきを与えられることがある。

 

 

いかがでしょう?自社に向くAIを探してみませんか?人材不足の緩和につながるかも、です。

 

 

人材確保

 

 

求人されているところはどちらも苦労されています。まず、応募がない。面接に来ても、採用したいような人が来ない。面接するのもくたびれる。そして、採用してもすぐやめてしまう。「人材確保」のキーワードで検索すると画面は情報で溢れます。そこから澤根なりに情報を整理してお伝えしようと思います。

 

 

募集は、1.どんな人が欲しいのかを決め、2.募集の窓口を広げ、3.自社の紹介をし、決定、教育という流れになるでしょう。

 

 

1.どんな人が欲しいのか

誰でもいいから欲しいということもあるかもしれませんが、どんな人が欲しいのか明確にしたいところです。高いところに登る仕事に高所恐怖症の人は向かないし、「ありがとうございます」を言えない人に飲食業は向かないでしょう。計算ができない人に経理はできません。とはいうもののなるべく間口は広げたいところです。

 

 

2.募集の窓口は、
・ハローワーク:嫌う人もいますが、より広くという意味で使いたいところです。
・求人サイトなどネット、人材派遣
・自社ホームページ
・従業員、知人、知人の紹介

 

 

3.自社の紹介で、自社のよいところを求職者に知らせます。しっかりよいところを見つけましょう。

 

 

4.採用決定に関しては、採用後のことを考えると教育担当者の意見を聞くのがいいと考えます。

 

 

社会的には労働者不足がずっと続きます。人がいなくてやめていく会社も増えていくでしょう。次の項目は、募集とは違った側面からの人材不足対策になるでしょう。

 

 

『本当に頭のいい人がやっている思考習慣100』

斎藤 孝著 宝島社新社 239頁 900円(税別)

 

 

 

本書の裏表紙には、「頭のいい考え方」は決してIQなどの問題ではなく、コツさえ掴めば誰も
掴める100個の習慣を紹介してくれます。私が実践してみたいものをいくつかご紹介します。

 

 

★頭のよさとは

 

世の中の変化に対応できる。時代が自分に求めているものは何なのか、何ができるのか。それを考える思考力を持っている人。そういう人を頭のいい人という。

 

 

★ゆったり

 

変化のスピードがどんどん速くなっているからこそ、地下水のようなゆったりした自分の時間を確保する必要がある。

 

 

★睡眠

 

自分の生活リズムに合わせて十分な睡眠を確保し、頭をすっきり、身体も健康に保つ。睡眠は知の環境づくりに大きく影響する。

 

 

★自分の行動に意味をもたせる

 

「あなたは今、何を意識してその作業をしているのか」と聞かれて、瞬時に答えられる人は頭のいい人。たとえば、ピアノの練習中にそう聞かれて、「このパートをスムーズに弾けるように左手の薬指を意識している」とすぐに答えを返すことができる人は、常に課題を持ちながら練習していて、頭の中も整理されている。

 

 

★上手な説明

 

物事を的確で具体的な例を用いて説明する。つまり、身近でわかりやすいひとつの言葉に要約して説明する。「ひとことで言うと」あるいは、「要するに」などのあとに、本質をズバリと突く文章やワードを選ぶ。多くの場合、この要約は5秒程度、あるいは1秒から3秒だ。

 

 

★わからなさを楽しむ

 

本を読んでわからないと、人はある種のパニックを起こし、その本から逃げようという気持ちになりがち。このとき大事なのは「わからなさ」を楽しむ気持ち。

 

 

★本は全部読む必要なし

 

あえていちばん大事だと思われる部分だけ読む。具体的には、その本の中で一番大事な部分を探して、そこに線を引いて読む。著者はこれをエッセンス読みと言っている。

 

 

★「知」との出会い

 

新しい発見を得るためには、自分が今まで触れたことのない分野に触れてみるのがいちばん。おすすめの番組はNHKの『100分で名著』。さまざまな分野に広く触れるので、食わず嫌いをなくし新しい情報を手に入れることができる。

 

 

★こまめなストレッチ

 

軽く伸びをするだけでも、血流が身体全体に回って、リラックスすることができる。肩甲骨や股関節などの身体の大きな部分を伸ばすと全身に血流が回って効果的。イチローさんは、ネクストバッターボックスに入るときに両ひざに両手をのせて肩入れをしていたが、あれはいい。肩甲骨と股関節が同時にぐっと動く。

 

 

★自分ができていること

 

精神状態を良好に保つには、自分ができること、できていることを評価することが大切。過度な謙虚さはさらに自信を奪ってしまうので、どんどん自慢すべき。特別なことでなくてもかまわない、ある程度できていることを他人に話す。人に話さなくても自分で評価するだけでもいい。

 

 

★元気に振る舞えば元気になる

 

大隈重信も新渡戸稲造も、陽気でいなさい、上機嫌でいなさいと言っています。著者は、不機嫌な時も調子の悪い時もそれを他人に見せないものだと言います。そして、人の前では常に機嫌のいいふりをする、そうするとだんだんと自分で元気に、機嫌がよくなっていくのが感じられる。

 

 

どうでしょう。試してみたいものがありましたか?

 

 

ひとり時間

 

 

労働者不足、値上げなど、今は決してやさしい時代ではありません。なんとか生き抜いていく方法を見つけなければなりません。その方法を見つけるヒントを与えてくれるのがひとり時間ではないかと思います。今は、SNSなど人とつながることが重視され、つながっている時間が多くなっています。いろいろな情報、正しい情報、間違った情報、正しいのか間違っているのかわからない情報がいっぱい私たちに入ってきます。いろいろな人がいろいろな話をします。そして、ますますどうしていいのかわからなくなってしまいます。だからこそ、ひとり時間が大切なのだと思います。

 

 

『週末ひとり時間』という本には、一人になる時間の作り方が紹介されています。

 

忙しくてひとり時間なんか取れない、という方が多いと思いますが、そのような方には「スキマ時間をつかうよう勧めています。こんな感じで作ります⇒「用事で出かける際に、予定時間の15分か30分前に現地の近くに行き、カフェで一息つく。

 

 

また、一日のスケジュールのなかでひとり時間を作りやすいところを見つけて、そこでひとりになるように日程を作っていくということも言っています。

 

 

何をするかについては人それぞれ。そのリストを作るということもひとり時間にすることの一つです。朝の散歩、神社仏閣へのお参りも例にあげています。

 

 

最近ますます話題になっているマインドフルネスでも一人の時間を大切にしています。その方法の一つはとても簡単です。歩き方に気をつけるだけです。歩くとき、一歩一歩に、そして呼吸に意識を向けるのです。そうすることで、貴重な一人の時間を確保できます。

 

 

 

値上げラッシュ

 

 

原材料価格や物流費の高騰を受け、食品やサービス、電気・ガスなど幅広い分野で値上げの動きが広がっています。値上げは、人手不足対策のひとつでもあります。最新の記事をまとめました。
(https://www.nikkei.com/topics/22040103)

 

 

★値上げラッシュ

 

・JR九州、バス運賃平均10~14%上げへ 直方線など3路線
・2月食品値上げ、4カ月ぶり1000品目超 トマト不作影響
・明治村、入場料25%値上げ 4月から大人2500円に
・3月の電気代、東京や中部など大手5社で7~133円値上げ
・小林製薬、「ブルーレット」など15%値上げ
・森永製菓、「チョコボール」など菓子50品値上げ 4月に
・山梨中央銀行、7月に手数料改定 ATM利用は値上げ
・砂糖卸値43年ぶり高値 原材料高、菓子需要回復で
・にんべん、かつお節・だし4月値上げ 原料価格高騰で
・大塚食品、「ボンカレーゴールド」など3月から値上げ
・ヤマト運輸、宅急便2%値上げ 4月から一部商品で
・「はなまるうどん」16日に値上げ うどん10~80円高く
・郵便値上げ「今年10月に」 日本郵政、封書やはがき
・市民マラソン、9割が参加費引き上げ 出走希望者3割減

 

 

 

『「働き手不足1100万人」の衝撃』

古屋星斗他著 プレジデント社 269頁 1600円(税別)

 

 

 

リクルートワークス研究所というところが、2023年3月に労働者の需要と供給についてのシミュレーションを行いました。その結果のひとつが、労働力の不足は、2030年に341万人、2040年には1100万人であるということです。数字だけでは、どのような状況なのかがわかりません。実際の生活にどのような影響があるのか、本書は教えてくれます。また対処法も示してくれます。「こんなになるのか」と驚きながら読んでいただきたいと思います。以下ご紹介します。

 

 

★概略

 

・給料をいくら上げても必要な人を採用できない
・採用するのに必要なコストが高すぎて、必要な生活維持サービスが廃止される
・生活維持サービスの水準が低下する
・必要な人手が足りないために、廃業せざるをえない企業が増える

 

 

★生活維持サービスの充足率(労働供給÷労働需要)2030年

 

75%以下:31道府県
75%というのは、たとえば「週4日必要なデイサービスにスタッフ不足で3日しか通えない」状況。岡山県は2030年は91%、2040年は70%。

 

 

★人材確保は最優先の経営課題

 

・老朽化や技術者不足で水道インフラ満身創痍
・観光飲食は、企業の5割が「正社員不足」
・整備士が足りない。修理は1か月後。
・6割の施設で薬剤師不足。地方、中小ほど傾向顕著に。
・公務員:民間企業における若手の取り合いが加速し、結果としてその競争についていくことができていない公務員の人材獲得が困難になっている。

 

 

★労働力率{(働いている人数+完全失業者の人数)/15歳以上の人数}:日本は決して低くない。労働供給はすでにパツパツな状態。つまり、「労働力率を高め、多くの人に労働に参加してもらう」ことのキャパシティはすでに限界に達しつつある。

 

日本:80.0%
ドイツ:78.7%
イギリス:78.3%
アメリカ:73.4%

 

 

★生活が大変すぎて、仕事どころではなくなる

 

・「荷物が届くかどうか」が、人の住める地域を決めるようになる。日本の4分の1の地域は事実上、荷物の発送も受取もできず、居住不可能になる。
・介護現場で介護スタッフ不足が深刻化し、欠員が常態化。高齢者自身や家族が対応せざるをえず、家族は仕事をやめることに。
・建設作業従事者が慢性的に不足:地方部の生活道路は穴だらけ、橋梁の崩壊が相次ぎ、移動にかかる時間が増加する。
・医療スタッフ不足:病院は長蛇の列。救急車の立ち往生が常態化。
・仕事困難:普通に働こうと思っても十分な生活サービスを受けられず、生活が破綻し、仕事どころではなくなってしまう。

 

 

★労働が楽しくなる

 

楽しくないと労働供給が増えないからだ。事業所を小洒落たコワーキングスペースのようなものに改装しているのは、「自社で働くのを少しでも楽しくしよう」というトレンドのはしりだ。

 

 

 

いかがでしょうか?とんでもない世界が目前に迫っています。私たちは何をすればいいのでしょうか?

 

 

 

2024年

 

 

日本、世界の動きはどうなるでしょうか。大前研一氏の『日本の論点2024-2025』(プレジデント社)から探ってみます。以下↓

 

★観光立国:日本の埋蔵金ナンバー1は、観光だ。観光大国には、3つの条件が必要だ。それは、安全性、交通の便、食と宿だ。安全性は世界屈指のレベルである。しかし、交通の便、宿には問題がある。前者はライドシェア、後者は空き家の活用で解決できる。宿泊設備に関しては、人手不足も問題だ。それには、外国からのワーキングホリデー人材の活用が有効だ。

 

 

★少子化対策:脱却に成功した他の先進国の事例に学ぶべき。「男は女よりも多く稼ぐもの」という価値観からの脱却、戸籍制度の撤廃、移民の受け入れなどごく普通の少子化対策から着手すべき。

 

 

★金融政策:膨大な個人金融資産をいかに消費に回せるかが経済再生に不可欠。異次元緩和で経済がよくならなかったのは、それが、古いケインズ経済学に基づいており、閉鎖した空間における理論だからだ。現在のボーダーレス経済では成立しない。今必要なのは、「貯蓄から投資」ではない。「貯蓄から消費」なのだ。それには、金利を上げて、利子を消費に回してもらえばいい。金利が5%になると1000兆円の預金に50兆円の利息がついて来る。それが税金と消費に結びつく。

 

 

★EV:テスラ株が売られた。ひとつには、EVに対する見直しの国際的な動きがある。世界で最もEVの普及が進んでいるノルウェーは、2022年に新車販売の8割がEVになった。しかし、充電所が足りず、チャージするための長蛇の列ができるようになった。EVは、「気候変動問題の解決のために必要」という意見があるが、電気の6割が化石燃料で作られている以上、説得力がない。EVが先行しているヨーロッパやアメリカ、中国では「EVはバラ色ではない」という認識が広がっている。

 

 

★幕引きを知らないゼレンスキー:落としどころの一つは、「ミンスク合意」だ。ロシアのクリミア併合後、ルガンスク州とドネツク州の親ロシア派が独立戦争を始めたが、両州を自治州とするという合意だ。しかし、ゼレンスキー大統領は、「クリミア半島を奪還するまで和平交渉の場につかない」と発言している。これでは、和平の達成はほぼ不可能だ。

 

 

★プーチンはすでに死に体:当初の「ロシア系住民の保護」や「核の不拡散」という大義名分は、首都キーウに向けての進軍あたりからおかしくなった。軍事的にも成功せず経済的にも制裁を受けている。軍事力関しては約30もある民兵組織に防衛費を渡して分割統治で掌握してきた。これはワグネルの反乱で明らかになっているようにコントロール不能となっている。近い将来、暗殺があっても驚きはない。問題はプーチン後である。

 

 

★プーチン後:プーチン大統領は、国際市場におけるロシア製品の失墜に加え、旧ソ連圏におけるリーダーとしての地位と国内における権威を失った。プーチン後に備えてロシア国内は群雄割拠となり、中国、インドなど諸外国も付き合い方を変えている。←以上。

 

 

前項、幸福に関してのお話で、研究対象を心的要因のみとしたとありました。その理由のひとつとして、心的要因以外は自分でコントロールできないからだと説明していました。世界の情勢、日本の情勢を私たちはコントロールできません。コントロールできるのは、それにどう対処するか、どう感じるかです。前項、幸福に関する内容が2024年を乗り切るヒントになるのではないでしょうか?

 

 

『幸せのメカニズム』

前野隆司著 講談社 257頁 900円(税別)

 

 

令和6年、2024年となりました。新しい年をよりよく過ごすために、本書を選んでみました。

 

 

著者は、もともとロボットの研究者でした。笑ったり喜んだりするロボットの心のアルゴリズムを作ってみることによって、人間を理解するというやり方を試みていました。しかし、それは偽物の幸福だ。それでは本物の幸福には迫れない。そういう想いから人間の幸福の研究を始めたそうです。そして、著者は、「幸せはコントロールできる!」と言っています。そして、本書では、著者のいう幸せの鍵をいくつか紹介しています。皆様のお役に立てそうなものがあるでしょうか?

 

 

☆幸せの四つの因子

 

幸福に影響する要因は多数ある。それら多数の要因の中で重要なものは何かを統計的手法で求めた。対象は心的要因のみとした。それには二つ理由がある。一つは、心的要因以外の幸福の要因は、外的ないしは身体的要因なので、自分でコントロールできない場合が多々ある。もう一つは、外的要因は地位財であることが多く、金、モノ、地位などの地位財は長続きしないことが多い。

 

 

◆第一因子:「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)

 

大きな目標を持っていること、その目標と目前の目標が一致していること、そのために学習、成長しようとしていることが幸せに寄与している。

 

・コンピテンス(私は有能である)
・社会の要請(私は社会の要請に応えている)
☆自己実現とはやりたかった多様なもののうちひとつを実現すること。成長はその過程。

 

 

◆第二因子:「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)

 

周りとの安定した関係が幸せに寄与する。
・人を喜ばせる(人の喜ぶ顔が見たい)
・愛情(私を大切に思ってくれる人たちがいる)
・感謝(人生において感謝することがたくさんある)
☆人を幸せにしようとしたら自分も幸せになる

 

 

◆第三因子:「何とかなる!」因子

 

・楽観性(私はものごとが思い通りにいくと思う)
・気持ちの切り替え(失敗や不安な感情をあまりひきずらない)
・積極的な他者関係(他者との近しい関係を維持できる)
・自己受容(自分は人生で多くのことを達成してきた)
☆メタ認知:一歩離れて自分を客観的に見る⇒前向き楽観に軌道修正できる
☆上を向く:上を向くとポジティブな気分になる
☆お疲れ様は禁止:「お疲れ様」は疲れているというメッセージを交換している。

 

 

◆第四因子:「あなたらしく!」因子(独立とマイぺースの因子)

 

・社会的比較志向のなさ(自分と他者をあまり比較しない)
・制約の比較のなさ(自分のできる、できないは外部のせいではない)
・最大効果の追及のなさ(テレビを見るときは頻繁にチャンネルを切り替えない)
☆人の目を気にしない⇒変人を目指す
☆メタ認知:マイペースを維持

 

 

さて、4つの因子で紹介されているもののうち、ご自分でも実行できそうなものが見つかったでしょうか?なければ、ヒントを見つけられないか、探してみましょう。

 

 

値上げ

 

 

日本経済新聞ネット版に「さらば「据え置き経済」 物価・賃金、30年越しの決断」という記事を見つけました。ショッキングな内容です。ご紹介します。

 

 

 

「物価も賃金も動かない」。この「据え置き経済」が30年間、日本に染みついたノルム(社会規範)だった。技術革新への挑戦も二の次とされ、成長の芽もしぼんだ。

 

 

ロンドン交通局は3月、一般的なバス料金を1ポンド75ペンス(約320円)に値上げした。05年の1ポンドから定期的に値上がりし、20年弱で75%上昇した。同期間に英国の労働者の週平均の給与も7割増えており、大きな騒ぎもなく値上げが容認される。一方で東京都区部のバス運賃は同時期に5%増と消費増税分しか上がっていない。

 

 

10月公表の日銀の生活意識に関する調査では8割が「5年後も物価が上がる」と答え、うち3割が「中長期的に物価はあがるものだ」と回答した。変化しつつある消費者のマインドに継続的な賃上げが重なり、30年ぶりに「蚊柱」が解凍するのか。企業も消費者も重大な選択の時を迎える。

 

 

 

以上簡単にご紹介しましたが、物価はまだあがるようです。どのような対策があるでしょうか?考えなければいけません。

 

 

 

成長も「タイパ」

 

 

「成長も『タイパ』、若手の新興転職18倍 居心地は二の次」という刺激的な記事を見つけました。日本経済新聞ネット版です。一部をご紹介します。

 

 

 

A氏が新卒で入った電機大手で希望の職種につき、残業は少なく、同僚もいい人ばかり。絵に描いたような「ホワイト職場」だった。でも会社を辞めて、ソフト開発の中堅、マネーフォワードに転じた。緩やかな時間が流れる電機大手では、「社外で通用しなくなる」不安が募ったのだ。新たな職場では「高速道路に乗り換えた気分。3倍のスピードで成長できる」と言う。

 

 

若手や中堅が会社に求めるのは安定よりも自分の成長に変わった。転職をスキルの習得できない職場からの「脱出」と位置付け、成長にもタイムパフォーマンス(時間効率)を追求する。

 

 

厚生労働省によると、2020年に入社した大企業の大卒社員は3年以内に4人に1人が辞めた。10年前の5人に1人よりも多い。企業は残業時間の削減など職場環境の改善で引き留めようとするが響かない。

 

 

「『石の上にも三年』は通用しない。組織の新陳代謝を早めないと人材を引き留められない」。KDDIの木村理恵子人財開発部長は語る。

 

 

社員の成長を支援できない企業は存続すらおぼつかなくなる。

 

 

 

以上記事の一部をご紹介しました。社員教育もスピードを重視しなければならないようです。「石の上にも3年」は、通用しないようですから。

 

 

 

『タイパの経済学』

廣瀬涼著 幻冬舎 227頁 960円(税別)

 

 

「タイパ」は、『今年の新語2022』において新語ベスト10の大賞に選ばれました。「かけた時間に対しての効果(満足度)」や「時間的な効率」を意味することばです。そして、若い世代の消費行動は「タイパ」追求型であるとされます。2010年頃は俳優の上戸彩が「コスパで選んでる?」と言っていたこともあり、コスパを唱える人が多かったようです。著者が言うコスパは、「お金がないから安いモノを求める」、タイパは「時間がないから時間のかからないモノを求める」です。

 

 

タイパもコスパも行動様式を示していますので、両者を知っておくことは対人活動のいろんな面で役立つと思います。簡単に中身をご紹介します。

 

 

★コスパがいいと感じる2つのパターン
・安くてなおかつ〇〇
・安いのになおかつ〇〇
〇〇を提供するのに妥当もしくは安いと感じる

 

 

★タイパ重視の理由
・動画視聴プラットホームが乱立、動画が溢れる⇒「元をとりたい」「配信が終わるまでに観たい」「話題作だから観なきゃ」とノルマのようにこなす意識が生まれた。
・動画視聴プラットホームもタイパを追求しやすいサービスを提供する⇒タイパを意識していなかった層にも倍速視聴などの習慣を植えつけた。
・動画はとにかく短く、音楽はすぐにサビを⇒インスタントなコンテンツでも、おもしろければバズってしまう消費文化が根付いた。
・お金に余裕がない⇒時間はたくさんある⇒一つ一つのコンテンツが鑑賞ではなく消化目的になった。

 

 

★コスパとタイパ
・コスパの追及で消費されるモノは直接効用=目的達成につながるモノ
・タイパの追及で消費されるモノは目的を達成する(ある状態になる)ための手段にすぎないため、その手段にかかる手間が省けるモノ
・消費者は、タイパとコスパを天秤にかけながら消費を決定することもある

 

 

★タイパの3つの性質
①時間効率
②消費結果によって、かけた時間が評価される(主に消費後)
③手間をかけずに〇〇の状態になる(主に消費対象を検討するうえでの指標)

 

 

★必要不可欠ではない消費
私たちの消費は「必要不可欠ではない消費」が中心である、それは次の2分類

 

①外部刺激を受けて必要に駆られる消費:コミュニティの協調やつながり意識を求めての消費、つながり消費
つながりを保つために「コンテンツを観た状態になる」ことが必要。楽しむ必要はない。じっくり視聴することは時間もコストもかかり、タイパが悪い。

 

 

②消費結果によって、かけた時間が評価される(主に消費後)消費した使用価値によって精神的充足につながる消費:他人を顧みない主体性のある消費。他人が無駄だと思っても自分さえ価値が見いだせればいい。
タイパ、コスパ度外視でその消費対象に没頭することもある。

 

 

 

タイパ、コスパいかがでしたか?「私たちの消費は必要不可欠ではない消費が中心である」という文言には驚きましたが、その通りかもしれないと思います。必要不可欠ではないもの、どうやって売りましょう?

 

 

 

電子帳簿保存法

 

 

インボイスとはまったく別に、また全く新しい制度に対応しなければなりません。消費税の課税事業者であろうと、免税事業者であろうと、パソコンを持っていても、持っていなくてもすべての事業者が対象です。

 

 

2024年1月1日開始です。

 

 

この制度は一言でいえば、電子で来た請求書等は電子データとして保存しなければならないということです。

 

 

★この制度の対象

支払先から請求書等が、紙で来なくてネットだけで来る場合

 

 

★対象外

支払先で印刷された請求書が紙でくる

つまり、請求書等がネットだけの場合、パソコンの中に保存しておかなければいけません。バックアップは当然必要です。

 

 

★保存方法

電子帳簿保存法一問一答 【電子取引関係】問16に簡単な方法が掲載されています。ファイル名を
2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書は、
⇒「20221031_㈱国税商事_110000」とする
合わせて規定をつくる必要があります。

 

 

規定については上記一問一答問29に記載されています。こちらからもご案内します。
なお、詳しくはネット上の「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」をご覧ください。また、澤根にお尋ねください。

 

 

 

インボイス

 

 

インボイスの制度が10月1日に始まりました。

 

この制度は一言でいうと
支払先からインボイスをもらえなければ、損をするという制度です。損をしないのは、消費税の簡易課税の方と免税事業者の方、そして課税取引ではない場合などです。

 

 

どのくらい損をするのかというと、支払額のざっと2%(2/110)です。この2%の損が3年続いて、その後はざっと5%(5/110)の損が3年続きます。そのあとは約10%(10/110)損します。

 

 

損をしないためには、
① 値引き交渉する
② インボイスを発行してもらう
③ 取引先を変更する
④ その他
が考えられます。

 

 

一方、こちらが売上先にインボイスを発行しなければ逆のことが起こります。

 

 

またこのインボイス制度の開始に伴い、現金出納帳等会計帳簿への記載条件が強化されます。また、こちらからお知らせしますが、以下をご覧になれば詳細がわかります。

 

「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」で検索、「一括ダウンロード」をクリックしてください。

 

 

『営業の苦手意識がなくなる本』

浅川智仁著 かんき出版 254頁 1,500円(税別)

 

 

著者は、20万件の電話セールスを経験した後セールスの指導者になった人です。電話セールスですが、営業一般に使えることも多いです。いくつかご紹介します。

 

 

 

★著者の実家は山梨県のスーパーを経営していた。エイギョウと呼ばれる人がやってきて父にペコペコ頭を下げていた。子供心に「将来この仕事だけは絶対にやりたくない」と思った。

 

 

★実家の倒産で、借金を肩代わり。歩合制の営業になり借金を返すことになった。いやでいやでたまらなかったが、多くのお客様と関わるうちに気がついた。「営業ほど、お客様の人生の岐路に立ち会えて、しかも、『自分磨き』になる仕事は、ほかにはないのではないか?」

 

 

★営業の定義
・PDCAを自分で回して楽しむ
・科学的で再現性があり、芸術でもある
・世の中の人々から感謝されるドクターのような誇り高い仕事
・自己研鑽が収入につながる

 

 

★数をこなす
・止めたらこわくなる
・自分で決めた回数のノルマをこなす
・数をこなすことでメンタルが楽になる
・トップセールスになる人は、入社した当時めちゃくちゃに断られた人
・数をこなせばデータがたまる
・落ち込む暇があったら営業する

 

 

★ノーリスクなら全部やれ
「こんなことをやってもどうせ効果はありませんから」と言う営業がいる。これはただの見解。事実は、「効果があるかどうかはやってみないとわからない」。基本姿勢はノーリスクなら全部やれ!

 

 

★役に立つ情報
自分にとって役に立つ、売るための情報ではなく、お客様の役に立つ営業がお客様に喜ばれる。

 

 

★楽しんでいるように見える営業
お客様から見て、「この人から買いたい」とおもっていただける営業は、「余裕があって、楽しんでいるように見える営業」。売上のことしか見えなくなっている営業からは、誰も買わない。商品が同じなら、誰だって、余裕があって明るい営業から買う。『論語』もこう言っている。「これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」

 

 

★自分の商品に自信を持てないとき自分の商品に自信を持てないという相談をもらったらこう答える。「100パーセントポジティブな商品はないし、100パーセントネガティブな商品もない」

 

自分の商品に自信が持てない場合は、思考のクセを変え、「この商品のよいところはどこなんだろう?」「お客様のお役にたてるところはどこなんだろう?」と、ポジティブ探しをする。また、商品は売った時に好きになる。まずは、売ることだ。

 

 

★映画『AIR』
『AIR』は、ナイキの伝説的なバスケットシューズ「エア・ジョーダン」の誕生秘話を描いた作品で、ナイキ社のバスケットシューズ部門の立て直しを命じられる社員、ソニーをマット・デイモンが演じている。営業にとって、参考になる場面が山のようにある。

 

 

 

面白いと思ったことを書き出しました。みなさんはいかがだったでしょうか?

 

 

値上げ

 

 

『値上げの科学』(日経トップリーダー10月号)の記事から石井食品が手掛けるお弁当のおかずの定番「おべんとクン ミートボール」の値上げをご紹介します。

 

 

この商品はミートボールが10粒入りで税抜き120円を2008年から維持してきた。カナダの熱波による菜種油急騰、ウクライナによるあらゆる経費の値上がりによる、次のようなコストカットを実施したが、値上げのやむなきにいたった。

 

 

★コストカット

 

・包材費:出荷用段ボールの規格を統一
・作業着クリーニング代:業者見直し
・菜種油使用量削減:濾過を効率化し、油の使用回数増加。

 

 

★値上げ

 

・120円から140円に
・営業担当者は最低限の値上げにとどめたいが、製造担当者は不透明な市場環境への危機感が強くできるだけバッファーを持たせたい。
・経営判断⇒先を見越して長く商売できる価格設定をすべき。原材料費が上がった分だけの小刻みな値上げでは何度も値上げを繰り返してそのたびに利害関係者に影響を及ぼす。できるだけ先を考えて1回の値上げで持ちこたえられるよう、ある程度の幅で価格改定した。
・値上げ後の売上数量の目標値をマイナス10%としていたが、それ以下だった。

 

 

ご紹介は以上です。値上げやむ無しの会社も多いと思います。小刻みな値上げか、大幅な値上げか、判断は難しいですね。

 

 

『神主はつらいよ』

 

新井俊邦著 自由国民社 238頁 1,300円(税別)

 

 

著者は神主さんです。なんでこんな本を題材にするのかというと、楽しめるからです。神社というなじみはあるけれども実態がわからないものを知ることができる。お参りの方法などを神主直伝で知ることができる。伝統的な神社という事業が、現代を生きるためにどのような経営努力をしているのか知ることができる。この3点を楽しむことができるのです。

 

 

著者は14の神社の宮司を務めているのです。宮司は神社のトップです。従業員はいません。つまり、14の社長だけの会社の社長なのです。ここに小企業の経営を見ることができます。

 

 

しかも、著者は中小企業診断士です。

 

まず神社の実態を知ることができるところをご紹介します。

 

・神社本庁に属する8万社のうち、7万社には宮司がおらず、兼任。
・著者の宮司としての年収は300万円弱
・著者が宮司を務めるR稲荷神社からの年俸は5万円。1年5回のお祭りに奉仕。
・R稲荷神社の氏子は50戸で、氏子年会費が3000円だとすると、年間の神社収入は15万円。宮司の年俸はその3分の1程度。
・8割以上の宮司は年収100万円以下で、9割以上が副業をしている。
・神社の貴重な収入源である地鎮祭が毎年3~5%減っている。
・著者は、御朱印のため、きれいな字を猛特訓。

 

 

次に著者の経営努力です。

 

★榊:榊(さかき)は、地鎮祭などのお祭りの間、土地の神様がいらっしゃる「依り代」に欠かせない。しかし、祭りは急に依頼されることもある。それに備えて常時用意しておくのは大変。そこで人口榊を用意しておく。

 

 

★どうして赤色なの?:小学3年生の女の子にお守りを渡したとき、そう言われた。なるほど、女の子だからって、朱色が好きとはかぎらないんだと気づいた。以後、どちらを選ぶこともできるようにし、その後さらに、伝統的な紫・朱色はやめて水色と桃色にした。

 

 

★お守り:子供用の交通安全のお守りには名前を入れていた。しかし、不審者対策で、登下校時に名札を外すよう指導している小学校があると知り、名入れ、名入れなしの選択をできるようにした。

 

神社は伝統的な価値を重んじるべきだ。しかし、それに胡坐をかいてはいけない。伝統を守りつつ、敏感に時代の趨勢をつかんでいく。これこそが、これからの神社の在り方だ。

 

 

★七五三:弱小神社の七五三は風前の灯火。著者の友人はこういう。「俺の親父の代なんて、数年前に予約が埋まっていた。今じゃ、予約ゼロの年もある」この神社で、七五三祈願を中止にしてもまったく混乱は起きなかった。近くには規模の大きな神社がいくつもあり、予約なしに待たずに七五三祈願を受けることができるからだ。

 

 

★商圏を広げる:氏子の子供が集まらないなら、子どもを集める範囲を広げればいい。しかし、氏子区域以外でのポスティングはトラブルのもと。SNS、動画を使う。

 

 

★人出:人出が多い祭りの理由を探して、それを強化する。
最後にお参りの作法を項目だけご紹介します。

 

 

★お守り、お札には有効期限がある。

 

 

★御朱印について

 

 

★地鎮祭のお神酒

 

 

★神様へのお供え物

 

 

★古札納め所

 

 

 

修行中の居眠り

 

 

 

車に乗っているときにラジオの聞き逃しを聞くことがあります。「NHKラジオ」というアプリです。たまたま、兼好法師の徒然草のお話をしていました。おもしろかったのでご紹介します。(徒然草 第三十九段、現代語訳 https://tsurezuregusa.com/039dan/)

 

 

ある人が法然上人に尋ねました。「念仏を唱えているとき、睡魔におそわれ仏道修行をおろそかにしてしまうことがあるのですが、どうしたら、この問題を解決できるでしょうか?」

 

 

法然上人はなんと答えたでしょうか?あなたが法然上人だとしたらなんと答えるでしょうか?
「修業が足らん」と叱るでしょうか?

 

「そんな奴は降格だ、減給だ」というでしょうか?階級があったのか、給料があったのかは知りませんが。

 

 

さて、法然上人の答えはこうです。
「目が覚めているときに、念仏を唱えなさい」

 

そして、徒然草は、「とってもありがたいお言葉である」と続きます。

 

 

いかがですか?指導者としての法然は?

 

 

また、こんなのもあります。
「死後に天国に行けると思えば、きっと行けるだろうし、行けないと思えば無理だ」と言ったそうな。これも、とってもありがたいお言葉である。

 

 

なんか仕事に使えそうじゃないでしょうか?

 

前の話は、一生懸命やっていれば細かいことはあまりがみがみしないでいいのじゃないか
後の話は、できないと思えばできない、できないと思えばできることもできなくなってしまう
ということでしょうか。

 

 

『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT対話型AIが生み出す未来』

古川渉一、酒井麻里子著 インプレス 174頁 1400円(税別)

 

 

ChatGPTやいろいろな生成AIが話題になっています。この生成AI、ますます世の中で多く利用されるようになると思います。そうなると、好むと好まざるとにかかわらず、生成AIによって作成された情報が私たちの目に触れる事になるでしょう。

 

 

今後のために、生成AIについて知っておいた方がいいのは間違いないでしょう。ということで、今回は本書を紹介することにしました。おもしろいところを少し紹介します。

 

 

★ChatGPTは、何か質問をすると、それに対して答えを返してくれる。「朝、起きるのが苦手なんだけど、早起きのコツを教えて」と聞くと、答えは、「早起きのコツとしては、次のようなことがあります・ ・ ・」

 

答えは省略したが、結構きちっとした返事を返してくれる。さらにChatGPTの凄いところは、1往復で終わりではなくて、連続して会話ができる事。

 

 

★ChatGPTの優れているところは、連続した会話をスムーズに行えることと、生成される文章のクオリティーが高いことの2つ。例えば、AIを活用して企業の決算資料から決算速報のニュース記事を作成することもできる。

 

 

★事実か?

 

ChatGPTが生成する文書は、とても自然できれいにまとめられていることが多いが、その内容はただ必ずしも正しいとは限らない。ChatGPTは、既存のウェブ上のデータを学習し、確率に基づいて「それらしい回答」を出しているに過ぎない。そのため、チャットGPTの内容を仕事などで使うときには、必ず内容が正しいかどうかのチェックをしなければならない。

 

 

★効果的な質問方法

 

・質問を重ねてより具体的にしていく
・前提となる「自分の立場」を明確に伝える。「社会人1年目の営業職ですが」など。
・追加質問で内容を掘り下げていく。
・「相手の役割」を指定して質問する。「コーチとして教えてください」など。

 

 

★機密情報を入れてはいけない

 

ChatGPT に入力された情報は、システムを改善するために利用される場合があるから。個人情報についても同じ。

 

 

★ChatGPT では、2022年初頭までにウェブ上に存在した情報をもとに学習している。だから、それ以降に新たに出てきたウェブ上の情報は学習していない。

 

 

★ビジネスの用途

 

・外注していた業務にAIを活用し、外注費削減
・ SNSの運用や、ブログ記事の作成といった業務
・企画書や提案資料など、最初にAIでおおまかなものを作って手直しする形をとることで、ゼロから自分で作る場合に比べて生産性が向上する。
・長い説明から、短いキャッチコピーを作る
例えば「文章を生成、AIのビジネス活用の可能性について書いた本の宣伝に使う、未来に希望が持てるような日本語のキャッチコピーの候補を10本考えてください」など。
・企画を考える
「ChatGPTについてのビジネスパーソン向けの本を作っています。100万部を突破するための、面白い目次案を箇条書きであげてください」
AIとうまく共存するには?
・ AIが得意な事は、AIに任せる。

 

 

 

中古で億ション

 

東京の中古マンションの価格がすごいことになっているようです。日経ネット版の6月28日の記事からご紹介します。

 

 

東京都心の中古マンション価格が1億円を超えている。首都圏では多くのエリアで新築時と価格が逆転しており、価値が2.5倍に跳ね上がる物件もある。

 

 

海外勢の買い意欲を背景に、マンションは新築や中古を問わず値上がりが続いている。

 

 

駅別の首位は東京メトロ南北線の六本木一丁目駅で、リセールバリューは251.6%となった。調査対象の398駅のうち、全体の98%に当たる389駅で新築時の価格を上回る「逆転現象」が起きている。

 

 

要因とされるのが、海外からの投資ニーズだ。その理由は複数ある。そのひとつが割安さだ。

 

 

もともと香港やシンガポールなどアジアの都市部と比べると日本の不動産は安い。22年に円安に振れたことで、さらに割安になった。相場にまだ上昇余地があると判断し、将来の売却益を見込んでいる。

 

 

その結果、比較的資金に余裕があるパワーカップルでさえ買えなくなっている。中古マンションも『高値の花』になってしまったのだ。

 

 

建築資材、建築価格の値上がりは知っていましたが、中古マンションも値上がりしているのですね。いろいろな影響がもっとでてくるにちがいありません。果たしてどんな影響があるのか。なんとか対処していきたいものです。

 

 

古典ちちんぷいぷい

 

 

日経トップリーダーの「古典ちちんぷいぷい、私を励ましてくれた言葉たち」からご紹介します。

 

 

ここでもまた、休憩のお話です。

 

 

中国の古典『列子』の「遁人(とんじん)と順民(じゅんみん)」の逸話です。

 

★人々が懸命に働いて、休憩を取れないのは、次の4つがあるからだ。

 

1.生活の糧を得て、長生きをしたいと願うため
2.自分の功績を人に認められたいと願うため
3.高い地位や役職に就きたいと願うため
4.安定した生活を送るため財産を得たいと願うため

 

 

⇒この4つの願望を強く持ちすぎると、生死や周囲の人々にいつも左右されて生きるようになってしまう。つまり、自分の人生がすべて他人の手に握られてしまうのだ。

 

 

そういう人々を総称して『列子』は「遁人」=「逃げ回っている人」と表現した。一方で、長寿、名声、名誉にとらわれずお金の亡者でもない人を「順民」と呼んだ。そして「順民」は、どんな世の中であっても怖いものがない。人生を左右するのは他人ではなく、すべて自分の思いひとつと心得ているからだ。

 

 

さて、いかがでしょうか?休憩を取れない理由がなんであれ、「遁人」よりは「順民」な生活を送りたいものです。であれば、裏面でお話しした休憩の取り方の本が参考になるように思います。

 

・リラックス
・コントロール:時間の過ごし方を自分で決める
・マスタリー:やりがいのあること、アクティブで、少しの努力が必要な活動をする。
・ディタッチメント:仕事のことを忘れられるくらい没頭する。

 

 

やってみましょう!

 

 

『TIME OFF 働き方に“生産性”と“創造性”を取り戻す戦略的休息術』

ジョン・フィッチ、マックス・フレンゼル著  526頁 2180円(税別)

 

 

日本語への序文から、少しご紹介します。
「日本に来て初めて就職したとき、終わりのない忙しさと押し寄せる不必要な仕事に、僕は燃え尽きた。過去のクリエイティビティとやる気に満ちあふれていた自分とは違う、抜け殻のようになったと感じた」

 

 

「それである夏、休もうと決めた。『青春18きっぷ』を買って、年休を10日間取り、東北をゆっくりと旅することにしたんだ。静かな日本の風景に身を浸す旅で、僕は古い旅館に泊まった。 山形県の山々を見つめながら、お茶をすすっていた。そのとき、稲妻に打たれたみたいにひらめいた。忙しくしてても全然ダメなんだと気づいたんだ。人生が変わった瞬間だった」

 

 

これが本書のひとつの動機になっているようです。それにしても「青春18きっぷ」というのが面白いですね。印象的な文章をいくつかご紹介します。

 

 

日本は製造業では世界トップレベルだけれど、ナレッジ・ワーク(知識労働)ではかなり劣る。日本の1時間における生産性は、G7の中で、ここ50年間ずっと最下位だ。疲れ果てて燃え尽きるほどに、創造性も生産性もどんどん落ちる。だから焦って余計に長時間働く。そんな、悪循環にはまりっぱなしなのだ。

 

 

日本の友達や同僚にこの話をすると、多くの人が効率性(一定時間でやれるだけの仕事をすること)と生産性(価値ある結果を生み出す適切な仕事をすること)の違いさえ考えたことがないことがわかった。身も蓋もないことを言うようだが、企業も個人もすごく熱心に働いているのに、こんなに何にも達成できていない場所は日本以外にない。仕事内容がそもそも必要なのかを立ち止まって考える時間さえ取らず、ただ働き続けているからだ。

 

 

働くことは、息を吸うことだと思ってほしい。業務リストを作ることは、息を吸うことだ。プロジェクトを遂行することも、息を吸うことだ。アイデアを実現させることも、息を吸うことだ。しかし、ずっと息を吸い続けることはできない。きちんと吐き出さなければならない。

 

 

この吐き出すことこそが、休むことだ。
アリストテレス(ギリシャの哲学者 紀元前384年~322年)のことば、
「すべての基本は余暇である」
「人生のすべては、仕事と余暇、戦争と平和に分けられる。・・・つまり仕事は余暇のためにある」

 

 

アレックス・ジョン-キム・パンは『シリコンバレー式 よい休息』(日経BP年)で適切な休息と回復のための4つの主な要素をあげている。

 

・リラックス:心と体をゆっくりさせる。
・コントロール:どのように時間を過ごすか決める。絵を描いたり、料理したり、音楽を作ったり、自分の思い描いたとおりに時間を使おう。
・マスタリー(習得すること):フロー状態になるようにやりがいのあることをする。本当に効果のある休息は、アクティブで、少しの努力が必要な活動なのだ。難しくて、心からのめりこめる(フロー状態)になるととてもリフレッシュできる。
・ディタッチメント(離れること):仕事のことを忘れられるくらい没頭する。仕事をすっかり頭から追い出して、目の前のことに集中することは、体と心の回復に効果的だ。

 

 

みなさんはどんな休み方をされていますか?

 

 

営業メール

 

 

まったく知らない人からこんなメールが来ました。

 

以下です。

「お世話になります。A工業のBと申します。突然の営業メールで大変恐縮です。弊社は、大工さんを中心に内装・設備・塗装・防水解体・外構・土木・鳶土工の職人で活動しており、総合的な建設工事を行っております。鳶土工・手元作業員に関しましては、北海道から沖縄まで全国対応可能です。ちょっとした小さな工事から、無料でお見積りさせていただきます。機会がございましたら、是非お声がけくださいませ。」

 

 

これを読んでどう思われますか?

 

私は、営業手法としていけるのではないかと思います。コストは時間だけです。評判が大事な業界では、このようなメールはよくないかもしれません。あるいは禁止されている業界もあるかもしれません。しかし、そのようなデメリットのない業界では、この営業メール、コストの低さから考えると可能性は低くないのではないかと思います。

 

 

手順も簡単です。

 

1.メール用の定型文を作る
2.対象業種から送信先企業を探す。
2.問い合わせアドレスを探す。
3.リストに加える
4.定型文のメールを出す

 

 

いかがでしょうか?試してみませんか?

 

ただし、成果はすぐには現れないでしょう。メールには、営業の内容の他、宛先の企業名、メール送信者の企業名、住所、電話番号、ホームページURL等が必要でしょう。

 

 

「利益の出し方」

 

「業務スーパー」創業者沼田昭二さんの記事(日経ビジネス電子版2023.9.19)を簡単にご紹介します。

 

 

まず、沼田さんの考えた利益の出し方は、
「ものの動きを常に細胞で見るイメージを持ち、調理・加工等、全てを頭の中で計算する習慣を持ち、可能な限りオリジナルに新しい方程式を考える」です。この「ものの動きを常に細胞で見る」というのは前項の「オペレーションの可視化」に通じます。また、「調理・加工を頭の中で計算し、可能な限りオリジナルに新しい方程式を何手先まで考える」はオペレーションそのものでしょう。オペレーションの重要さが実感できます。

 

 

以下、儲かる企業に変えた実績です。
2008年から8年間で17社2工場を買収した。そのひとつ「豊田乳業」の主力商品は牛乳だった。
土日も関係なく従業員は働き続けている。牛乳は賞味期限が短いので毎日製造していないと商売にならないと言う。ならば牛乳を作るのはやめにしよう。手法は2つ。1つは需要の高い普遍的な商品をローコストで、日持ちするように製造を工夫して利益を出す手法。もう1つは他社にないオンリーワン商品の開発・製造。

 

 

牛乳パックは低コストな容器として活用できる。別の商品を充填すれば差別化はできるから。開発部門には「賞味期限が3カ月に延びて、なおかつ差別化できる商品の開発」を命じた。数カ月後生まれたのが、牛乳パック入りの水ようかんと杏仁豆腐。これが人気商品となった。

 

 

牛乳メーカを買収して牛乳製造をやめたというのには、驚きます。

 

 

『努力に逃げない「これからの組織」を作るオペレーション科学』

中谷一郎著 柴田書店 212頁 1,800円(税別)

 

 

本書の「努力に逃げない」という題に少しびっくりします。どういう意味なのでしょうか?努力ではないとしたらいったい何をすればいいのでしょうか?

 

 

「工夫」がその答えです。

 

引用します。

 

 

―Amazonやマクドナルド、トヨタ自動車といった、世界的に絶大なる影響力を持つ企業も、並々ならぬ努力だけで今のポジションまで辿り着けたわけではありません。その背景には、努力だけでなく、常に工夫を凝らしてきた歴史があるといえます。誤解を恐れずにいうと、「頑張る、努力するということに逃げずに」工夫を積み重ねられた組織なのではないでしょうか?―

 

 

では、その工夫とはいったい何なのか。著者は、その糸口を「オペレーション」に見出します。オペレーションというと聞きなれないかもしれませんが、「ワンオペ家事」、「ワンオペ育児」などという言葉は耳にします。オペレーションとは、ある目的を実現するために個人または組織で実施する一連の作業、動作の総称です。

 

 

著者は、あらゆる業種におけるオペレーションを可視化、分析、改善することを業務とする会社を経営しています。その顧客の半数は飲食業をはじめとするサービス業です。サービス業では、「うまく回っている」「きつい」「気が利く」といった感覚的な評価が飛び交うオペレーションの可視化、分析、改善が困難な業界です。

 

 

以下、重要なところを要約して引用します。

 

★可視化:可視化は、われわれに進化と多様化をもたらした。今の状況をまず可視化することこそが、オペレーションに進化と多様化を促す第一歩になる。

 

★オペレーショナル・エクセレンス:オペレーションを競争上優位なところまで磨き上げた状態

 

★名前:「オペレーショナル・エクセレンス」を実現した企業の多くは、自社のオペレーションを可視化するだけでなく、そのオペレーションに名前を与えていた。スポーツ分野でも、バスケットボールであれば、「ボックスワン」「ゾーンディフェンス」「マンツーマンディフェンス」といった具合に、動き方や戦い方に名前がついている。

 

★どの業種・業界にも応用できる「万能なオペレーション」が存在しないのは、個々の組織、 個人に変数が多く存在するうえ、それぞれに個性があるため。 卓越したオペレーションを得るには、 個人の勘、経験に頼るのではなく、 まず、今あるオペレーションを可視化することが重要。

 

★オペレーションレベルのチェックリスト

 

―初級

 

・マニュアルは一応あるが参照されていない
・手順や独自ノウハウが個々人に散在している
・社内ノウハウを共有する機能が組織にない

 

―中級

 

・社内ノウハウを共通言語化する取組みがある
・マニュアルが更新されていない
・マニュアルの制作・視聴ツールを導入している

 

―上級

 

・オペレーションの専門部署がある
・自社のオペレーションを数字で計測している
・自社のプロセスをKPIに設定している

 

 

いかがでしょうか?チェックリスト初級にある「手順や独自ノウハウが個々人に散在している」については当てはまる企業が多いと思います。手順、ノウハウの共有化を第一歩としてはいかがでしょうか?

 

 

『瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す』

山川 隆義 著 かんき出版 269頁 1,600円(税別)

 

著者は数多くの経験を有するコンサルタントです。現代はAIの時代であり、いかに課題を発見し、よい仮説を生み出すかが特に重要であるとして、仮説を瞬間に生み出す方法について書いています。

 

まず、
「AI時代に人間が仮説構築力を鍛え、課題発見力を高めるためには、時間軸を長く取り、範囲を広く取ってものを考えることが要求される」としています。時間軸を長く取るとは、その日の課題、目の前の問題だけを追いかかけていてはいけないということです。

 

ではどうすればいいのか?そのためには、
「さまざまなことを知っておかなければならない。すなわち教養の深さが大きく問われる。教養の深さは、瞬考においても、AIに指示を出すためにも肝要である」

 

仮説についても、
「仮説が湧くのは、教養が深いからであり、そうでなければ、仮説は湧かない。
指示が出せるのは、仮説が湧くから。仮説が湧かなければ、指示は出せない。
AIが加速度的に進化していく世界において、仮説構築力があるかどうかが、死線を分けるだろう。」
と言っています。

 

では、どうすれば仮説構築力を身に着けることができるでしょうか?
「少しの情報をインプットしただけで、あらゆる仮説が湧く。
極めて少数だが、そのようなコンサルタントも存在する。」

 

そのような人たちは、「一を聞いて十を知るということわざを体現したような存在」です。では、どうすれば、「一を聞いて十を知る境地に至る」ことができるのか。

 

 

それは、「一を聞いて十を調べることである。

5年、10年と『一を聞いて十を調べる』ことを継続する。

その努力によって累積したインプットは、大きな『知の資産』となる。

 

頭の中に、多数の事例や事象を累積して溜め込んで 『知の資産』を作り、長期の時間軸を意識して思考すれば、仮説は一瞬ではじき出せる」のだと著者は主張します。

 

 

そして、著者は、何をインプットすればいいのかを教えてくれます。「何をインプットするかは、どのような立場にあるかによって異なるが、ビジネスパーソンの場合、世の中にどのような会社が存在するか、どのようなビジネスをやっているかをインプットすることから始めてみるといい。インプット手段としてお勧めなのが、『四季報丸暗記』だ。と言います。

 

 

四季報とは『会社四季報』のことで、東洋経済新報社から四半期に一度刊行されている情報誌で、上場企業の企業情報、株価、株主構成や財務状況などを一冊にまとめているものです。著者は、これを丸暗記することを勧めているのです。著者自身、駆け出し時代に「四季報写経」と呼びながら四季報を10年分、表計算システムに入力したそうです。それがずいぶん役に立ち、仮説が湧く人間になれたと主張しています。

 

 

仮説を一瞬にはじきだす瞬考の能力を身につけるには、インプット、インプット、インプット、瞬考の土台となるのが「インプット」なのです。

 

 

さて、インプット、何から始めましょうか?四季報は本屋さんにいけば簡単に見つかります。

 

 

仮説とは
前項で仮説構築力をいかにして身に着けるかについて見てみました。しかし、そもそも「仮説」とはいったいなんなのでしょうか?ネットで探してみました。

 

―問い:「他社と差別化した商品をどうすればつくれるか?」

 

答え:「過去の成功事例から、ニッチなジャンルを開拓する」という仮の答えを出したとします。これはひとつの仮説とも言えます。―――

 

「ニッチなジャンルを開拓すれば、差別化した商品をつくれるだろう」、つまり、仮説とは「こうしたら、こうなるのでは」という考えです。

 

仮説ですから、はずれることもあるでしょう。しかし、仮説ははずれてもメリットがあります。
それはこういうことです。

 

 

――「仮説をせっかく立てても、的外れのものでは意味がない」と考えてはいませんか。しかし、仮説は、それが「外れた」ときにも大きな効果を発揮するようです。
「仮にデータを集めた結果、想定した答えと合わなかった場合でも、なぜ想定した答えと違うのかと考えることで、新たな答えへの発想が展開します。」―――

 

 

これを簡単にいうとこうなります。
「新規顧客獲得のために〇〇すればいいだろう」と仮説を立てて実行したがダメだった。なぜダメだったかを考えて、新しい仮説を立てて実行するということです。

 

「こうしたら問題解消、課題克服」という仮説を立てることを意識してやってみましょう。まずは、課題は何かでスタートします。それから、仮説を立てるわけです。

 

 

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