トヨタに長年勤務し、企画管理部門関係を担当している方のお話を聞く機会がありました。特に印象に残ったことを紹介します。それは、トヨタの利益計画の実施についてです。
「トヨタは、本社主導の『タテ型・統制型・標準収束型・組織還元型』ではなく,現場主導の『ヨコ型・自律創発型・限界突破型・協働型』である。そして、トヨタの利益計画システムの独自性は,
1測定すれども統制せず,
2標準は示せども収束させず,
3責任職能は示せどもヨコ連携は阻害せず,
という3点にある。」
まず思ったのは、本社主導ではなく、現場主導なのであれば、トヨタのシステムは、中小企業になじみやすいのではないかということです。中小企業は、いわば現場だけですから。次に、1です。「測定すれども統制せず」というのは、数値目標を立て、その数値を測定するのですが、統制しないということです。つまり「なぜ目標が達成できないのか、もっと頑張れ」と責め立てないということです。こうすることで、目標を立てるよう言われた部下は、なるべく低い目標を立てる必要がなくなり、思い切って高い目標を設定することができます。達成できなくても責められないのですから。目標は、いったん立てたら、それは必ず達成しなければならないということが言われることが多いと思います。しかし、そうなると高い目標を立てることは、自分の首をしめることになります。だから、なるべく低い目標、上司に許して貰える最低限の目標を立てようとします。当たり前ですね。しかし「測定すれども統制せず」であれば、目標をごまかす必要もありません。