山崎将志著222頁 892円

有名なコンサルタントがいろいろなエピソードや、仕事のヒントを書いた本。面白い話がいっぱいありますので、いくつか選んで紹介いたします。

餃子の王将が半額サービスする理由:セントラルキッチン方式から、各店舗で調理する方式に変えたときに、従業員には調理技術がなかった。そこで、特定のメニューを格安にして、そのメニューの注文が多くなるようにした。同じものを大量に作ると自然と調理技術が向上する。サービスメニューを毎月変えていくことで、すべてのメニューの調理技術が鍛えられたのだ.

おいしくないなら返金の理由:スキー場の食事はまずい。星野リゾートがアルツ磐梯の運営に乗り出したとき、スタッフのサービス意識を改善したいと考えた。そこで、スキー場のレストランのカレーライスに「おいしさ保証」をつけた。食べた人がおいしくないと言ったら、返金するという品質保証サービスだ。おいしくなかったというお客様が出てきて、スタッフは、自ら進んで味の改良に乗り出した。サービス意識が浸透し始めたのだ。

直接仕事につながる勉強:本で勉強するのではなくて、自分の会社について、勉強する。顧客は創業何年で、誰がどういう目的で設立した会社なのか。売上高、利益はいくらで、従業員は何人か。自社の商品名をすべて言えるか。商品の主要機能、導入方法、効果、リスクは何か。あなたが書き込んでいるフォーマットは、いつ誰がどういう目的でつくったのか。チェック項目がたとえば、5つあれば、それはなぜ5つなのか。4つとか6つではないのか。

結論を先にいう:資料を作成するのが遅れたと指摘されたとき、できなかった理由、言い訳から入る人がいる。そんなことより、「いつまでにできるか」「どれくらい計画を変更しなければならないか」の方がずっと大事だ。言い訳は役にたたないのだ。

結果を出す人は、どんなことでも「自分たちのメリットになることはないか」を一生懸命考えている。

サービスをエンジニアリングで考える:ローソンでセルフレジ(客が自分でレジを通す)を採用しているところがある。それで、混雑率が20パーセント改善したという話を聞いた。仕事の総量は変わらない。人間がやるか、コンピュータがやるかと考える。人間がやるにしても、従業員がやるか、客がやるのかを考える。客が納得してやってもらえることがあるなら、従業員は他のことに時間を使える。コスト的に従業員が担うよりメリットがあるなら、客にインセンティブを払ってもよい。

購入頻度を上げる:「食べるラー油」を初めて目にしたとき「参りました」と思った。ラー油は利用頻度が少ない上に、一回の使用量も微量なためかなかなか減らない。しかも、チューブ入りわさびや生姜と違って賞味期限がよくわからず何となく長持ちしそうに見えるので、買い替え需要も少ない。それを「食べるラー油」は、1回の使用量を多くして、利用頻度を増やすことに成功した。それがすごい。

コストの削減は3%よりも30%のほうが簡単:ビジネスの世界では、3%や5%のコスト削減は難しいが、30%の削減は簡単だといわれている。3%の削減は現状の枠組みのなかで行っていくけちけち運動みたいになり、社内の雰囲気も悪くなるので、逆効果になることもある。30%のコスト削減は仕事のやり方を抜本的に変える必要がある。たとえば、現場のリーダーが忙しくて人を増やしたいといってきたら、5人でやっているのを4人にしてしまう。人件費が2割減って、しかも問題なくできることがある。効率の悪いところがはっきりと見えてきて、対処できるのだ。

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