山本 譲司著

同じ著者の『累犯障害者』を読んで、本書を読みたくなった。
きっと著者の人柄、客観的な文体に惹かれたのだろうと思う。

感覚的にだが、本書は三つの内容からなっていると思う。

秘書給与事件による逮捕、刑務所内の記録そしてT氏との関係
すべてにわたって客観的で、客観的であろうという
自己との戦いが伺われる。

また、入獄という体験をなんとかこれからの自分の人生
に生かそうという態度もあちらこちらに見える。

そして、読み応えがあるのが、看守や他の受刑者との関係だ。

国会議員T氏が著者に関して行った発言、マスコミを通じて
執拗に行われるのだが、それに対しての獄内での
戦いもどきどきしてしまった。

刑務所の管理の状況もよくわかった。
著者は新しい自分を刑務所で発見したと思うのだが
自分としては、新しい自分を発見したいという思いより
このような読書体験が実地に役にたつことがないように
という気持ちの方がずっと強い。

著者本人もまさか自分がはいるとは思っていなかったのだ。

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